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このブログは、9割以上が妄想で構成されています。アニメ・ゲームへの偏愛が主な成分です。
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EROが書けなくなった……orz
すみません。なんか気分が乗らないというか……全然すすまないんです。

気分転換に、十二国記パロを書いてみました。
とはいうものの、完全に十二国記の世界観ではありませんのでご注意ください。

1:世界は12ヶ国で構成されていません。ギアス世界だとお思いください。
2:文化水準はギアス世界に起因します。なので、麒麟がいますがパソコンやテレビがあります。
3:「兵をもって他国に侵入してはならぬ」なので、戦争ありません。
4:大綱などの決まりを無視しています。が、都合のいいところだけは残しています。中途半端でスミマセン。
5:ルルーシュ・ナナリーは兄妹ですが、ブリタニアとは関係ありません。あくまでランペルージで。両親は亡くなっています。両親はブリタニアの中流以上で上級以下な貴族でした。
6:舞台は日本です。もっとも大綱ガン無視宣言の通り、王が日本人とは限らないので、文化的にはブリタニアよりになっています。
7:十二国記の身分・国内組織関係は難しすぎるので、麒麟=宰輔(さいほ)という制度しか残せません。orz
8:字や称号なども難しすぎるので、バッサリ切り捨ててしまいました。
9:ギアス能力は一切ないです。

上記のような中途半端な設定ですが、それでもおkな方のみお読みください。
 (※十二国記を知らない方でも読めるように書いています。が、分からないことなどありましたら、web拍手などで教えてください。考慮して書き直しorお答えします)

web拍手に後日談をアップしました。
よろしければ、パチパチしてやってください。


+ + + + + + + + + +









この世界には厳格な理がある。
一国に一人の王を。
その王は麒麟と呼ばれる聖獣によって選ばれる。それ以外は王とは認められない。
王が治めない国は荒廃してしまう。
王となった者は人とは異なる命を与えられる。
また、王が王足りえなくなった場合は、麒麟が病に罹る。王が国を治める道を見失うと麒麟が患う「失道の病」である。この病を治せない場合、麒麟は死に、王もまた命を落とすことになる。

それは世界から重力がなくならないのと同じく、決して違うことはない。
背けば国が滅びるのだから。

 

 

 

彼は世界に数限られた麒麟のなかでも、異端だった。
通常金の鬣を持つ麒麟であるが、彼の鬣の色は銀であった。淡い青を含んだ白銀は、まるで月の光を糸として紡いだような美しさである。
彼は、この鬣が嫌いだった。
美しいと褒められ事は多々ある。彼が王に選んだ者はみな、彼の髪を褒めた。

――そう。彼はすでに王を三人選んでいる。

生まれて初めて彼が王に選んだのは、4人の子どもを持つ母親だった。田舎で暮らしていた彼女の元に、王の気配をたどって彼は赴いた。彼女の前で跪き、王になってほしいと乞うた。戸惑いながらも彼女は頷き、女王となった。
だが、女王の夫は彼女が王になることに強固に反対し、彼女の元を去ってしまった。
彼女は寂しがった。その寂しさを埋めるように、4人の子どもたちを溺愛した。
痛みも悲しみも苦しみも、わずかな疲労までも子どもたちから遠ざけようとした。
女王の子どもたちの言葉を否定することを禁じた。子どもが欲しがる物はすべて与えた。それがどれだけ高価なものでも、人の命でも、人の心であっても、全てを子どもたちのために捧げよと命じた。
世界各国から高級な装飾品が集められ、人身御供のように人が集められた。見目麗しく、決して逆らわない子どもたち。

当然のように国は傾いた。
彼は病に罹り、国は荒廃の一途をたどった。
彼の命を救ったのは、女王の部下である。いくら人は違う命を有していても、首を落とされれば死んでしまう。
女王を諌め、国を救おうと苦心していた部下は、ついに彼女を見捨てたのだ。

病の原因である王がいなくなれば、麒麟は命存える。

生き残った彼は、再び王を探した。王の不在期間が長ければ長いほど、国は荒れる。
王の気配を探し、彼は必死で国中を飛び回った。

二人目の王は、年老いた男だった。
もともと役人であった男は、いつも国を憂いていたから、麒麟が跪くとすんなりと王になった。
王は厳しい法律を作り上げた。
わずかな罪も許さない、細かな法律だった。そして、罪には厳罰をもって処断した。
国は罪人であふれた。道端にゴミをすれば牢に入れられ、子どもが小さな飴を盗めば大人になるまで自由はなかった。人を傷つければ首をはねられる。
民は疲れきり、彼は再び「失道の病」に冒された。

だが、王は自分で定めた法を犯した。ほんのわずかなことであったが、王は自分が許せなかった。
王は自ら命を絶ち、彼は再び生き長らえた。

三人目の王は、まだ幼い子どもだった。
政など何も知らぬ幼い王は、明らかに戸惑っていた。それでも、王となった以上は頑張ろうと必死で学んだ。
だが、その間に部下たちが裏切った。王の目の届かぬところで国を蝕み続けた。
王は部下たちを信じ続け、故に処断することを怠った。
国の財政は傾き、部下たちは王を蔑ろにした。すでに、王の言葉は民まで降りなくなっていた。

失道の病に罹った彼の元を訪れた王は、疲れ果てていた。
もう彼以外信じられないと涙を流し、そして彼に懇願した。
――どうか、新しい王を見つけて欲しい。よりよい国にできる、素晴らしい王を。
そう言い残し、幼い王は自ら命を絶った。

彼が選んだ三人の王はみな、彼の髪を褒めた。
けれども、誰も彼の声を聞こうとしなかった。
そして彼は、誰も救うことができなかった。

それは歴代の麒麟の中では異例なことであった。王を三人選ぶという時点で、すでにおかしい。
それだけ早く王を失っていることも、失道の病に罹りながら三度も生き残ったことも前例がない。

その事実が、彼を追い詰めていた。
麒麟は王を選ぶが、彼らが「王にふさわしい」と思う人物を選ぶわけではない。彼らは「この人が王になる」という事実を知っていて王を選ぶのだ。
麒麟たちが選ぶ前に、王は神によってすでに選ばれている。麒麟はその王を探し出し、王に自覚を促すだけなのだ。王の探知機であると言ってもいいかもしれない。
だから、彼は思う。
自分はどこかが壊れた探知機なのではないか、と。
自分が選ぶ王は王であり続けることができない者ばかりだった。本来は別の王がいるのに、麒麟である彼がそれを見つけ出せていないだけではないか。勘違いしているのではないか。

そう思うのだが、それを誰に言うわけにもいかなかった。
彼は国民の期待を一身に背負っているのだ。それは無言の重圧だ。彼には「聞こえて」しまうのだ。民の願いが。

――早く王を見つけて欲しい。次こそは、素晴らしい王を探し出して欲しい。

その声が聞こえる以上、彼は探し続けなければならなかった。
どれだけ絶望していても。どれだけ自分を信じられなくても。

獣の姿で空を駆けていた彼は、ふいにその足を止めた。
強く輝いている気配がある。
彼は思わず苦笑した。
何も考えずに駆けているはずだった。だが、無意識にこの気配に惹かれていたのだろう。

幼かった三人目の王を思い出す。最後の言葉も。
けれど、彼はその言葉に是と答えることはできなかった。
自分が選ぶ王が「素晴らしい王」のわけがないと思うのだ。それでも、選ばなければ国がさらに荒れてしまう。

――選びたくない。けれど、選ばなければならない。
その矛盾が彼を苦しめ、傷つけていた。そしていつか、彼を殺すことになるのだろう。
彼には自覚があった。
そしていっそ殺して欲しいとすら願いながら、彼はその煌く気配を追い続けた。

遠くからも分かるほど強い王の気配に目を細めながら、彼は空を駆ける。気乗りしないのに、体だけはずいぶんと速く王を追い求めている。
駆けて、駆けて、駆け続けて……彼は一軒の屋敷の前に降り立った。
分かった。ここに、彼の――この国の王がいる。

彼はまず近くの物陰に移動すると、音もなく転変した。獣の姿から、人の姿に変化する。
三人目の王を選んだ際に、麒麟の姿のままでひどく驚かせてしまったのを思い出したのだ。
首に巻きつけてきた服を着込み、身なりを整える。

そうしてようやく、彼は扉の前に立った。
ゆっくりと乱れていた呼気を整えてから、チャイムを鳴らす。
心臓が早鐘のように鳴るのを感じてはいた。けれど、それは体の反応だけだ。麒麟である自分の体が勝手に王に反応して、緊張するのだ。
だから、彼の意識内ではほとんど他人事のように感じられた。

扉から出てきたのはメイドのようだった。
黒髪に黒の瞳。おっとりと微笑んだ姿にも関わらず、どこか張り詰めたような緊張感があった。

「どちら様でしょうか?」
「はじめまして」

彼は丁寧に頭を下げてから、懐から身分証を取り出した。
この国にたったひとつしかない、宰輔の身分を証明するものだ。
王の補佐であり、首都を治める地位である宰輔は、麒麟にしか付くことが許されない。
メイドは明らかに顔色を変えた。王の崩御はすでに世界中に知られている。麒麟が王を探していることも。

「こちらに王がおられます。中へ入っても?」
「――もちろんです。すぐに主人を呼んで参りますので」
「お願いします」

彼は小さく頷いて、メイドに薦められるままに客間の椅子に座った。
それほど小さな屋敷ではないのだが、どうやらメイドは彼女一人のようだ。
所在無く座っていなければならなかった時間はとても短かった。

メイドとともにやって来た、黒髪の青年と車椅子に座る少女だった。
彼は反射的に席を立つ。
がたりと椅子が鳴る。その音が存外大きかったのか、車椅子の少女がびくりと体を震わせた。

「大丈夫だよ、ナナリー」

青年が優しく少女の肩をなでる。
椅子が鳴っただけだからと説明すれば、少女はほっとしたように微笑んだ。その目が閉じられたままで、少女が光を失っていることに気づく。

「驚かせてしまったようで、申し訳ない」
「いえ、お気になさらないでください。宰輔様」

少女が鈴の鳴るような愛らしい声で言う。穏やかな声音に、彼は意識せずに微笑んだ。
その様子を注意深く――もっと言うならば警戒して見ていた青年が口を開く。

「このような場所に宰輔様がわざわざお越しということは、用件はひとつかと存じますが?」

厭味っぽい言い回しに、彼は少しだけ驚いた。少女から垣間見えた穏やかさとは似ても似つかなかったからだ。
けれども彼はそのことを表情に出すことなく、青年に向き直った。
ゆったりとした動作で彼は青年に近づいた。そして、静かに青年の前で跪く。
メイドの女性が小さく息を呑んだ。

「その通りです」

彼はそう一言告げると、叩頭礼をして青年の靴に額をつけた。

「天命をもって主上にお迎えします。これより先、御前を離れず、詔命に背かず、忠誠を誓うと誓約申しあげる」

この言葉に対し、返事はただひとつだ。
それを知らぬ者は嬰児ぐらいだろう。
彼が返事を促すより早く、言葉が降ってきた。

「――許す」

ただひとつの言葉を聴き、彼は顔を上げた。
そして初めてまともに彼の王となった青年を見た。

夜空を染料とした絹糸のような髪。白い肌に、整った容姿。
両の瞳は宝石のように美しい深い紫紺。けれど、その美しさに似つかわしくないほど苛烈な光を秘めていた。
そう、まるで全てを壊してしまうほどの強い力。

その光を見出して、彼は思わず背中を震わせた。
畏怖だろうか。それとも歓喜だろうか。彼自身にも理解できない感情が、体中を駆け巡る。

彼を見下ろしたまま、青年は宣言する。
苛烈なまでの意思を持って、それは確約として告げられた。

「俺が、この国を変える」
「――御意に」

彼は深く頭を下げた。

ここに「黒銀の治世」と呼ばれるようになる時代を築いた王と宰輔が誕生した。



********************

わざと名前をほとんど出さないようにしてみました。分かり辛かったらスミマセン。
今後、ルルーシュの過去とか、どうして国を変えたいのかとかを書きたいと思ってます。
それから、王と麒麟のイチャイチャも(笑)

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