調子に乗って第2弾。
十二国記とのWパロです。王×麒麟で、ルルライです。
本文だけで力尽きました。orz
明日ぐらいにweb拍手にて、パロ用の会話文をあげたいです。
会話文は楽しいのですごく好き。でも、今は眠い……とりあえず、寝ます。
とりあえず、「黒銀の国01(十二国記パロ)」の後日談をweb拍手にアップしました。
ただいま5種のお礼がランダムで表示されております。
以下、前回の注意書きをコピペ。
完全に十二国記の世界観ではありませんのでご注意ください。
1:世界は12ヶ国で構成されていません。ギアス世界だとお思いください。
2:文化水準はギアス世界に起因します。なので、麒麟がいますがパソコンやテレビがあります。
3:「兵をもって他国に侵入してはならぬ」なので、戦争ありません。
4:大綱などの決まりを無視しています。が、都合のいいところだけは残しています。中途半端でスミマセン。
5:ルルーシュ・ナナリーは兄妹ですが、ブリタニアとは関係ありません。あくまでランペルージで。両親は亡くなっています。両親はブリタニアの中流以上で上級以下な貴族でした。
6:舞台は日本です。もっとも大綱ガン無視宣言の通り、王が日本人とは限らないので、文化的にはブリタニアよりになっています。
7:十二国記の身分・国内組織関係は難しすぎるので、麒麟=宰輔(さいほ)という制度しか残せません。orz
8:字や称号なども難しすぎるので、バッサリ切り捨ててしまいました。
9:ギアス能力は一切ないです。
上記のような中途半端な設定ですが、それでもおkな方のみお読みください。
(※十二国記を知らない方でも読めるように書いています。が、分からないことなどありましたら、web拍手などで教えてください。考慮して書き直しorお答えします)
「主上」
「ルルーシュだ」
ぶっきらぼうな声で訂正され、思わず固まってしまう。どう対応したらいいのか分からないのだ。
いままでこんなことを言う人はいなかった。
「おい、聞こえているか?」
「もちろんです、主上」
「……どうやら聞こえていないらしい」
王宮でもっとも静かな場所。王のためにあつらえられた執務室は、以前とは異なりずいぶん質素になった。
前王の治世においては、官僚や役人の不正が横行した。賄賂などもかなりの額が行き来し、王に対してもかなりのものが贈られていた。
王自身はそれほどその賄賂に心動かされることはなく――そもそも、賄賂というもの自体を理解していなかった節がある。ただ受け取りはするのだが、どうして「これ」が貰えたのか分からないという顔をしていた。
そうして集まった装飾品などでこの執務室もかなり豪華になっていのだが、現王――ルルーシュは王位に付いた途端、執務室にある不要な物をすべて処分した。
機能的にはなったが、「王」の執務室としては少しばかり寂しい部屋になってしまったのは否めない。
現在の執務室でもっとも存在感のあるのが、大きな執務机である。
その机についていたルルーシュが、顔を上げて肩をすくめて見せた。そして、呆れたような表情でこちらを見る。
「ライ」
名を呼ばれて、ライは小さく驚いた。
麒麟――王を選び、補佐する聖獣である彼にとって、名を呼ばれることはあまりない。
たいていの場合は地位である「宰輔」と呼ばれることが多く、そうでなければ種族名である「麒麟」と呼ばれる。
「こら、返事をしろ。それともお前、偽りの名前を俺に告げたのか?」
「いいえ、それは私の名前です」
反射的に否定して、けれどそれ以上何を言えばいいのか分からない。
眉尻をさげると、ルルーシュは小さく笑った。何を笑われているのかも分からず、さらにライは困惑する。
「そんな顔をしなくていい。――ライ」
「……はい」
再度の呼びかけには、何とか答えられた。
見れば、あの日――ルルーシュを王に迎えた日に、ライを射抜いて虜にした紫紺の瞳が微笑んでいた。
思わず見惚れかけて、その感情にセーブをかける。
「俺は王だが、名前はルルーシュだ。主上などと呼ぶな」
「……それでは示しが付きません。王が豪華な宮殿に住まいに傅かれるのは、王こそが人々を導く者だと印象づけるためです。同じように呼び方も」
「わかっているよ」
ルルーシュはうんざりとしたように、装飾が多く付いた服の袖口をつまんで見せた。
「だから、こんな服も着ているだろう」
「ならば――」
「だが、ここには俺とお前しかいない。堅苦しいのは嫌いなんだ」
ルルーシュは王らしく、椅子の背もたれに体重をかけながら尊大な口調で言い放った。
「二人きりのときは名前で呼べ。それから、敬語も禁じる」
あまりの言い草に、ライは思わず眉をしかめた。返す言葉も自然と苦くなる。
「それはご命令ですか?"主上"」
厭味らしい口調に、ルルーシュは面白そうに眉を跳ねさせた。
ルルーシュが王位についてもうすぐ1ヶ月になるが、ライがこれほどルルーシュに対して否定的な感情を示したことはなかった。
いや、あらゆる感情を示さなかったといってもいい。
好意も敵意も、反感も尊敬も、あらゆる感情がなかった。ただ淡々とした「役割」という責任が横たわっているばかりだったのだ。
それはふたりにとって確かな「繋がり」ではあったが、絆ではない。
もちろん、たかだか1ヶ月前に知り合っただけの二人だ。
絆があるわけでもなかろうが、ルルーシュとしてはライはこの王宮で最も自分の近くにいる者だ。
その彼に常によそよそしく扱われるのは、ハッキリ言って不快だった。
だから、彼がはじめて見せた感情が――それが否定的なものだったとはいえ、嬉しかったのだ。ほっとしたのも確かだ。
麒麟には感情がないのだろうかと疑い始めていたから、なおさら安心した。
「命令だ、と言ってもいいが……それより弱いな。頼みと言ったほうがいいだろう」
頼みというにはまったく下手には出ない。上から物を言う頼み方というのをライははじめて聞いた。
ライは溜息をつきそうになるのを抑える。
「では、私が従わなければならないというわけではないのですね」
「その通りだ。だが、できれば従ってもらいたいな」
そういうルルーシュの目は、明らかに「従え」と命じていた。
目は口ほどに物を言い、とはよく言ったものだと、ライは思う。この王の目は、誰よりも雄弁だった。特に命じるときには有効だ。その眼差しだけで人を跪かせ、意思を絡めとる。
ライは今度こそ溜息をついて見せた。
「嫌か?」
「必要性をまったく感じません」
言えば、ルルーシュはふむと小さく頷いた。
少し考えるように紫紺が瞬いて、ゆっくりと口を開いた。
「お前が言うことは理解しているし、正しいと思う。が、人はずっと王でいられるものではない」
「――え?」
ライは背筋が冷えるような感覚を覚えた。
それは、彼を王に迎えたときに感じた予感を強くしたような、不吉でそのくせ確かに甘美な感覚だ。
ライの戸惑いに気づくことなく、ルルーシュは話を続けている。
「俺が思うに、王はヒトではない。王は国の仕組みのひとつにしか過ぎない。確かに重要な部分を担っているかもしれないが、替えが効く」
ライは答えられなかった。それはライ自身も感じていたことなのだ。
通常の麒麟は、それほど多くの王に仕えることはない。彼らの命は王に直結している。王が道をはずせば病に侵されるのだ。自分自身では治すことのできない、必死の病。
そして何より、聖獣ゆえに穢れに敏感すぎる。
血や怨嗟に弱く、それらに中てられるだけで体は自由にならなくなるのだ。
麒麟も不老の体を持っているとはいえ、歴史に見て、王より先に麒麟が死亡することの方が圧倒的に多い。
麒麟として4人目の王に仕えているのは、多分ライが初めてなのだ。
だからこそ、ライは疑っている。――王の価値を。
「だが人には替えはない。世界においてただひとりの存在だからだ。そんな存在が、完全に無機質な――神が求めるような王になり得るわけがないと思うんだ」
ライは内心でルルーシュの言葉に同意しながらも、頷くことはできなかった。
「だから、人が王でいられる時間は、資質に左右されるだろうが、限られているだろう」
「――では、私があなたを王に選んだのは間違いだと?」
「まさか。お前は正しい。俺以外に王足りえる者はいないだろう」
ルルーシュは傲慢なまでに言い切った。
ライは唖然とした。急に王座につけられた学生の言葉ではない。
「俺はできるだけ長く正しく王でありたいと思う。だから、王でない時間が必要だ」
「……それが呼び方で変わるのですか?」
「大きく変わる」
ルルーシュが断言すると、ライは困ったような顔をした。
しばらく視線をさまよわせるが、もちろんどこかに返答の模範解答が書いてあるわけではない。
「――ライ?」
ルルーシュにせかされるように名を呼ばれ、ライはとうとう折れた。
「わ、わかりました」
王という身分と自分の立場など多くの葛藤を抑えて頷いたのに、ルルーシュはさらに追い討ちをかけた。
「言葉遣いも素に戻せ」
「……素、ですか?」
「敬語禁止。俺に対していないときはそんな話し方はしていないそうだが?」
誰からのタレコミだ!と思わず叫びたくなった。だが、もちろんそんなことを言える訳がない。
元からこの口調ですと、言い訳することもできずライは黙り込んだ。
ルルーシュが面白そうにこちらを見ている視線を感じて、ライは思わず俯いた。自分の足先を睨み付けていると、小さな笑い声が耳をくすぐった。
ライは大きく溜息をつく。呆れた表情も口調も、もう隠す気もなくなっていた。
「――分かった」
言いながら頷けば、ルルーシュは目元を緩ませた。
安心したようなその表情に、ライは首を傾げる。ライの疑問に気づいているだろうに、ルルーシュは答えを示すことがなく笑い続ける。
「これからよろしく。俺の麒麟」
握られた手が暖かくて、ライは思わず微笑んだ。
そして漠然と、彼ならば――ライの言葉を聴いてくれるような気がした。
「よろしく、僕の王」
――願わくば、君が僕の最後の王となりますように。
その祈りは決して口にすることなく、ライは微笑んだ。