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このブログは、9割以上が妄想で構成されています。アニメ・ゲームへの偏愛が主な成分です。
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一日ネットができなかっただけで、ライ不足です。
( ゚д゚)ハッ! これが噂に聞くインターネット中毒というやつか!
……違う気がする。

というわけで、足りなくなったライ成分を補うために幸せなお話にしてみました(笑)
たぶん「紅茶の香りと君のやさしさ」の続きです。というか、ルートとか時間(時期?)とかがかぶっているから続きっぽくなったというだけなのですが。もちろん、単体でも読めます。


以下、設定です。
(いっそシリーズにようにしてやろうかと画策中。)

騎士団ルルED後で、特区成立後だいたい半年くらいは経過しています。
特区代表はユフィ。ゼロは特区幹部で、ライはゼロの腹心です。スザクはそのままユフィの騎士。

ルルーシュのギアスはR2のスペシャルなコンタクトで抑え済み。
ルルはゼロとして働きながらもアッシュフォード学園に通っています。ライとスザクも同じく通学中。3人とも一応生徒会に在籍(ただしほとんど幽霊)。
3人ともアッシュフォードはきちんと卒業したい模様。

カレンはほとんど特区にいます。時々(家の都合などで)アッシュフォードにも来ますが、カレンお嬢様の病気は一層篤くなられたのでは?というのが学園で噂になっていて居辛いのでした(笑)

スザクはゼロの正体を知りません、が薄々気づいている感じ。カレンもゼロの正体は知りません。
ライとスザクはそのまま学園から特区に行けますが、ルルーシュだけ途中で着替えないので直接執務室に行けず、不便がっています。


このあたりのことを小噺にしたいのですが……
皆様の反応を見ながら、また考えます。


+ + + + + + + + + +






のんびりとした時間がようやく取れるようになった。
ライは特区中央庁舎の庭でのんびりと日向ぼっこをしていた。

庁舎には大きな中庭があり、そちらにはベンチなどが設置されていて住民や職員の憩いの場となっている。
ライが今いるのは庁舎のはずれにある小さな庭で、人気がほとんどない。
その割には日当たりもよく、ふかふかの芝生と大きな金木犀の木がある。
なぜか忘れ去られてしまったようなこの箱庭をライが見つけたのは、金木犀の香につられたからだった。
以来、ここはライのお気に入りの場所となっている。

腕時計をちらりと見る。
あと1時間はのんびりしていられることを確認して、ライは芝生の上に寝転んだ。
爽やかな風がライの髪を揺らし、頬を撫でる。その心地よいくすぐったさに身をゆだねながら、ライは目を閉じた。

そして、夢を見る。





はじめは、美しい庭園から。
さまざまな種類の薔薇が咲き誇るその庭園は、妹のお気にいりだった。
いつもテラスから花園を眺めては、にこにこと笑っていた。綺麗ねと微笑む姿が好きだった。

見るだけでは飽き足らず自分で育てると言いだしたとき、母は困った顔をして止めた。
薔薇の花は繊細で、ちょっとしたことですぐ病気になる。いままで何も育てたことのない妹には難しいからと。
それでも育てると言い張った妹は、庭師から一株、赤薔薇をもらい育て始めた。

水をやり、肥料をやり、大切に大切に。
愛情を傾けるその姿は、今まで見たこともないほど大人びて見えた。

結局、水をやりすぎて根を腐らせてしまったのだったか。
枯らしてしまった薔薇を前に涙を流す妹を慰めようとしたのだが、なかなか上手くいかない。
言葉を尽くしても、頭を撫でても、彼女の涙は止まることがなく……
途方に暮れていると、ふと赤い紙が目にとまった。

折り紙だ。

その紙を手に取り、丁寧に折りこんでいく。長い時間をかけて、ようやく小さな妹の掌よりさらに小さな薔薇ができた。
その小さな赤薔薇を手に乗せてやると、妹は泣きながら微笑んだ。母がその妹の顔を見て、やはり微笑む。

「よかったわね」と母が言う。
妹は小さく頷き「ありがとう、お兄様」と囁いた。

ライは小さく首を振る。
お礼は僕に言わなくてもいい、と。

「では、どなたに?」

妹が聞くので、ライは答える。

「僕がこんなに穏やかでいられるのは彼らのおかげなんだ。だから、どうか……彼らに」

振り向いた先はアッシュフォード学園だった。
中庭に生徒会の面々が集まっていて、お茶会をしている。

ルルーシュが振り向き、手を挙げる。
スザクが早くと急かす。
ナナリーが楽しそうに笑っている。
カレンがお茶を注ぎ、ニーナが焼き菓子を配っている。
ミレイが大きく手を振っている。
リヴァルがケーキを切り分けて、シャーリーがどのお菓子にしようかと悩んでいる。

皆が笑っていた。

妹がおずおずとライの背中から顔を出す。
「おいで」と大らかに笑うスザクに言われ、そっと近づいていく。
ミレイとシャーリーが妹を見て可愛いとはしゃぎ、リヴァルが感心したように目を丸くする。
可愛いだろうと自慢すれば、リヴァルが「ライもシスコンか!」と呆れたように笑い出す。

妹はナナリーと意気投合したらしく、楽しげに笑っている。
それを微笑ましく見ていたら、ルルーシュがティーカップを渡してくれた。甘い香りのするアップルティーはナナリーのお気に入りだ。
甘くて優しい香り。

ほっと息をつくと、ルルーシュが微笑んでいた。
穏やかに、優しく。
この笑みを見るといつもお思う。彼の本質は、本来ならばこの微笑みだったのではないだろうか、と。

「どうした?」

思わず見惚れていたライに、ルルーシュが言う。
ライは笑いながら答える。

「なんでもないよ。ただ――」

 


唐突に目が覚めた。
いや、意識は覚醒しているのだが、身体はまだ眠っている。
芝生を踏むわずかな音が、ライを夢から引き戻したららしい。
ライはまだまどろみにたゆたう身体に、思わず苦笑した。

こんな事は今までなかった。
本来の自分の時代であれば、周りに敵がいないことの方が稀だった。だから、いつでも目覚めることが出来るように訓練されていた。
アッシュフォード学園に拾われたばかりの時は、自分も周りも何も分からずいつも緊張してた。深く眠ることなど出来ようはずもなく、故にいつでも起き上がることが出来た。
それなのに、今はどうだろう。

眠っていても大丈夫だと、安心している。
怖がることはないのだと、既に知っている。

――すべて、教えてもらったのだ。

この愛しい足音の主に。
小さな足音だけでも誰か分かるほどに、焦がれている彼に。

「……ライ?」

囁くような呼びかけにも、ライの身体は目覚めなかった。
頭の中はかなりクリアで起きているつもりなのだが、どうしても手足は動かなかった。
――こういうのを、金縛りというのだろうか?
先日スザクに聞いた怪談話にあった単語をふと思い出し、そんなことを考える。その割には怖かったり、不気味だったりしないから、違うのだろうか?

足音はゆっくりとライに近づき、近くに腰を下ろしたらしい。

「寝ているのか」

確認するように呟いた声はくぐもっておらず、彼が「ゼロ」ではなく「ルルーシュ」であることが分かった。
ということは、きっと出勤してきたばかりなのだろう。ライはそう考えて、いささかあわてた。
ルルーシュが特区の庁舎に来ると言うことは、休める1時間はほとんど使い切ってしまったと言うことだ。

本格的に起きなければと思うのだが、眠りについた四肢はぴくりともしなかった。
困り果てたライは思わず内心でため息をついた。自分がこれほど疲れているとは思っていなかった。

ルルーシュも変だと思ったらしい。戸惑ったような気配がした。
こんなに無防備に寝ていたことはほとんどないから、当然だろうな、とライは冷静に考えた。
それにしても、起こしてもらわないとこの身体は目覚める気配がない。

早く起こしてくれないかな。
人頼みになってしまうが、ルルーシュが肩に手をかけ揺すり起こしてくれるのを待つことにした。
それなのに、ルルーシュはいつまで経っても動く気配がない。
――どうしたのだろう?

ライが不思議に思っていると、ルルーシュがゆっくりと動いた。
とても静かに、わずかにも空気を動かさないように、注意してルルーシュの手が動く。

そっとライの額に触れ、掛かっていた髪を払う。
それから頬に触れた指先は、そっとライの髪を梳いた。
まるで雪の結晶にでも触るかのように、慎重な手つき。

ライは思わず笑った。
くすぐったい。
感覚的に――感情的にも。

笑うと、身体が急に目覚めたらしい。
目が開く。
すぐ目の前に、ルルーシュの驚いた顔があった。紫の瞳がこぼれ落ちそうなほどに見開かれている。

「お、はよう、ルルーシュ」

笑いの発作が治まらなず肩を揺らしながら挨拶をすると、ルルーシュは見る間に真っ赤になった。

「狸寝入りか!」

羞恥か怒りか――たぶん両方だろうが、ルルーシュは耳まで赤くして叫んだ。
ライはふふ、と息を吹き出すように笑った。そして、小さく首を振る。

「寝ていたよ。ルルーシュが起こしたんだ」
「あんなタイミングで起きるものか!」
「起きたんだよ」

芝生に寝転がったまま、ライは笑い続けた。目尻に涙がたまって、笑いの発作でこぼれ落ちていく。
ルルーシュがいささか呆れたように、ため息をついた。

「いくら何でも笑いすぎだろう」
「ふ……す、すまない。でも、くすぐったくて」
「なにがだ?」
「君がだよ、ルルーシュ」

ルルーシュは訳が分からないという顔をする。

「君に触れられるのがくすぐったかったんだ」
「……それは悪かったな」

途端にへそを曲げてしまったルルーシュに、ライは微笑む。
時々見せるルルーシュの子どもっぽい一面が、ライはとても愛しかった。

「違う。君に触られると、君に大切に思われていることが分かるから……とてもくすぐったい」
「……な!」

寝ころんだまま見上げたルルーシュは、また真っ赤になっていた。
視線があちらこちらと彷徨い、しばらくして諦めたようにライに戻ってきた。まだ目元が赤かったが、とりあえずの衝撃はやり過ごしたらしい。
不機嫌そうに結ばれた口元が照れ隠しだと、今のライには分かる。

「ありがとう」

ライは心を込めて言った。
突然の言葉にルルーシュは驚く。それでも、ライは構わず、続けてもう一度「ありがとう」と囁く。

「どうしたんだ?」
「今寝ているときに夢を見たんだ」
「ん?」
「母と妹がいて、庭園で薔薇を育てていた」

ルルーシュが少しだけ表情を陰らした。ルルーシュはライの過去を知っている。だから、ライが「家族」の話をすることがどれだけの重さを持つかも分かっていた。
ライはルルーシュにそんな顔をしなくていいと伝えるように、そっと手を握った。

「結局妹は薔薇を枯らしてしまって……僕はあの子を慰めるために、折り紙で薔薇を折ってあげた」
「……そんなものまで折れるのか?」
「うん?ああ……昔は折れなかったよ。今は折れる。ナナリーに折ってあげたくて本を読んだからね」

夢が単純に過去の回想ではないことに、ルルーシュはいささか意外な思いをした。
いままで、ライから聞く夢の話は全て過去の回想だったからだ。

「それで、お礼を言われるんだ。ありがとうって」
「嬉しかったんだろう?」
「うん。嬉しそうだった。でも、僕は違うと答えた」
「何が違うんだ?」

ルルーシュはライの手を握り替えしながら尋ねる。
指を絡めて、握り込む。
少しだけひんやりとしたルルーシュの手は気持ちよかった。

「僕が折り紙を折ってあげられたのは君たちのおかげだから、君たちにお礼を言って欲しいと、言ったんだ」
「……お前が折ってあげたんだろう?」
「それでも。僕は君たちが――ルルーシュがいなかったら、あんなに穏やかにあの子を慰められなかったから」

そして、ライは小さく笑った。

「夢はすごいね。僕がそう言うと、君たちがお茶会を開いていたんだ」
「は?」
「急に場面が変わってね。母も妹もいるのに、アッシュフォード学園の中庭だった」
「なるほど。生徒会でお茶会か」
「そう。ナナリーもスザクも、ミレイさんにカレン、ニーナ、リヴァル、シャーリー……みんないた」

勿論、君も。
ライは嬉しそうに笑う。

「みんな笑っていた」
「そうか」
「うん……とても、幸せな夢だったよ」

ライの水色の瞳から、ぽろりと涙がこぼれた。
ルルーシュは黙ってその雫をぬぐう。

「幸せな夢を、幸せだと感じられたんだ。今までは昔の幸せな記憶を夢で見ても、苦しくて辛くて堪らなかった」

でも、とライは言う。
今日の夢はとても幸せだったと。

「ルルーシュ、君が、隣で笑っていてくれたんだ」

ライは微笑んだまま、涙を流す。

「それで僕は幸せだった。だから……ありがとう」

ルルーシュは小さくため息をついた。
それから、微笑む。ライが夢で見たのと同じ、穏やかな笑みで。

「こちらこそ。ありがとう、ライ」

――俺も、お前がいてくれて、幸せだよ。
そう囁いた唇が降りてきて、ライの涙をそっと啜った。

そうしていると、甘い涙はすぐに止まった。
けれど、そのままルルーシュはキスを降らし続ける。
かすかな音を鳴らしながら、ライの顔のあちらこちらにキスが降る。頬、額、鼻、瞼、唇……。
結局またくすぐったくて堪らなくなったライが笑い出すまで、ルルーシュはキスを止めなかった。

「――ルルーシュ」
「ん?」
「幸せで涙が出るなんて、初めて知ったよ」

 


36-1.png

 






午睡の幸福な夢。
(もっと幸せになるために、もう少し頑張ろう)

 

********************

「R2」7話のルルーシュの「幸せ」から派生した幸福な話でした。
最初に視聴したときはあの幸せの話に感動したのですが……もう一度見直してみると、ずいぶん臭いことを真面目に言ってるなあ、と思わず笑っ(ry
げふげふ。何でもありません。

わたくし、プロットがないと書けないヘタレなのですが……
最初にプロットを作った時点では、ライの夢の部分がごっそりありませんでした。
でも、うっかり「妹と生徒会がお茶会してたら、幸せだよなあ」と思ってしまったのでこんなことに!
オリジナル要素が強すぎで申し訳ないです。(うっかり、お茶会の時点で母の存在を忘れているし;)
もう一つ。
プロット時点と変更されているのが、ラストです。
ルルとライがちゅーしているところに、スザク+ユフィが乱入してくる予定でした(笑)
でも、そうすると完全にギャグになってしまうので……泣く泣くカット。
――スザク+ユフィ、好きなんです。スザクはユフィといれば黒くなることがないですし!
ユフィ……好きだったのに……。・゚・(ノД`)・゚・。

web拍手のお返事はまた明日させていただきます。
お待たせして申し訳ないです。
いつもパチパチありがとうございます!
アンケートも着々と票が伸びていて嬉しい限りです!ありがとうございます!

例によって例のごとく、後日談をweb拍手にupしました。
また是非パチパチしてください。
(小噺後日談が5つ溜まったので、web拍手表示方法はランダムになりました。よろしくお願いします)

26日追記:
九条様より素敵な誕生日プレゼントを頂きました!
許可をいただきましたので、UPします。嬉しすぎる!
九条様!ありがとうございますっ!

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