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このブログは、9割以上が妄想で構成されています。アニメ・ゲームへの偏愛が主な成分です。
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前回がルル←ライだったので、今回はルル→ライで。
でも、そう簡単にいかせはしない!(笑)
よそ様のところで、ライに愛されまくっているルルに嫉妬をした私は、思わずスザクに助けを求めてみた(笑)
というわけで、ルル→ライ←スザでスザ目線です。

追記:ルルーシュが頭良すぎて馬鹿になってます。
    それでもよろしければお楽しみください。

+ + + + + + + + + +



スザクが生徒会室で見たのは、難しい顔で分厚い本を読んでいるルルーシュだった。
ルルーシュが難しい顔をしているのはそれほど珍しいことではない。穏やかに笑っているのは愛しい妹・ナナリーがそばにいる時ぐらいのものだ。たいていは無表情か不機嫌そうな顔か、あるいは呆れたような顔をしている気がする。
もっとも、そういった顔を見せるのはある程度ルルーシュの懐に入っているからだと、スザクは知っている。他人であればあるほど、完璧な営業スマイルで接するのがルルーシュなのだ。
そう思えば、普段のしかめっ面も多少は嬉しく思えるものなのである。

しかし、今日のルルーシュは、表情の上ではいつもと同じだったがどうにも変だった。
何しろ黙々と熟読しているのが、殺人的な厚さの医学書だったのだ。
もともとルルーシュは読書が好きだし、読んでいる分野は多岐にわたる……というか、雑食すぎるほどだ。経済誌から哲学書、レシピ集などの実用書は勿論、なぜか日本の古典文学まで読んでいるという。
そんなルルーシュの読書遍歴からみれば、医学書など「普通」といってもいいほどなのだが……

「何でそんな難しい顔で『家庭の医学』なんて読んでいるんだい?」

スザクが思わず聞いてしまうほど真剣だったのだ。

『家庭の医学』は一般家庭における応急処置や各症状による病名などを知ることができる書籍だ。しかし、所詮一般家庭用であるから、メジャーな病気しか分からないし、気になることがあれば医師に相談すべきである旨が書かれている。ルルーシュが興味を示しそうな――つまりは、ナナリーの脚や目の治療に関する記事は一切載っていないだろう。
それなのにどうして、というのは当然の疑問だった。

「ああ、スザクか」

ルルーシュはようやく本から顔をあげると、ちいさく笑って見せた。そうして表情を和らげると、周囲の空気ごと華やいで見える。
美形ってすごいなあ、とまるっきり他人事のようにスザクは思った。

「とても難しそうな顔をしてたから……ナナリーが風邪でもひいたのかい?」
「まさか。もし例えそうだとしたら、こんな本に頼ることはない。病院に連れていくし、看病の仕方も心得ている」

そういえば、むかし、ナナリーはよく風邪をひいていた。幼い体には酷な状況にあったから、心も体も疲れやすかったのだろう。
ルルーシュが一生懸命看病していた姿を思い出せば、確かにこの本が今更必要になるとは思えなかった。

「そうだね……でも、かなり真剣に読み込んでいたから」
「そうか?」
「うん。だって僕が入ってきたのに気づいてなかっただろう?」

「まあ、確かに」とルルーシュは頷いた。それから迷うように視線をさまよわせる。
はっきり物を言う質のルルーシュにしては珍しい反応に、スザクは目を瞬かせた。

「何か重大な問題でも?」
「いや、そうじゃない。ただ……」

やはり幾分か言葉を濁して、ルルーシュは答えた。

「最近ちょっと体調が悪いような気がして」
「ルルーシュが?」

体力は平均以下だがいたって健康的であるルルーシュが体調を崩しているという事実に、スザクは驚いた。
そんなそぶりを見せてもいなかったから尚更だ。

「大丈夫なのかい?寝ていた方が……」
「いや、それが……今は全く問題ないんだ」
「今は?治ったんだ?」
「それが、治ったわけでもないらしい」

ルルーシュ自身も困惑しているのだろう。慎重に言葉を選びながら話す。
スザクとしては余計に状況が分からない。思わず首を傾げると、ルルーシュが補足した。

「ある一定の条件がそろうと体調が悪くなるんだ」
「どういうこと?」
「その条件がそろっていると、動悸や眩暈、息切れなどの症状が現れる」

あれ、とスザクは思った。

「なんか、それ……聞いたことがあるような……?」
「なに?ということは、日本の風土病のようなものか?」
「さあ?でも、だとしたら、それこそその本に載っているんじゃないかな?」
「それもそうか」
「もしそんなに気になるのなら、ちゃんとした所で診てもらった方がいいと思うよ?」

なんなら軍の医師を紹介しようか、と尋ねるとルルーシュは一瞬固まった。それから酷く疲れたような声で言う。

「いや、気持ちだけで十分だ」
「そう。でも何か困ったことがあったら言って欲しい。ルルーシュは何でも一人で解決しようとするから」
「ああ、ありがとう」

ルルーシュは淡い笑みを浮かべて礼を言う。けれど、スザクには何となく分かっていた。
――きっと本当に困ったことがあっても、ルルーシュはスザクを頼らない。
それはとても寂しいのだけれど、そのことをルルーシュに伝えるのには躊躇いがあった。
たぶん、伝えてしまえばルルーシュは気にする。けれど、気にしたところでルルーシュは自分の行動を変えることはできないだろう。性格とか意地とか矜持とか、そういうものなのだと思う。
そしてそれは、スザクがルルーシュに「そこまで踏み込んでいい」と許されていない、ということでもある。

親友って難しいな、とスザクは思った。

 

 

なんてことがあったのは1週間前のことだった。と、スザクは遠い眼をした。
目を細めて見た空は青く高く澄んでいる。伸びた飛行機雲とのコントラストが綺麗だ。

その空をのぞく窓の前には、ルルーシュがいる。妙に真剣な表情である一点を見つめていた。
――ライの横顔だ。
ライは初めこそ居心地悪そうにしていたが、ルルーシュの「何でもない。気にするな」という言葉を丸呑みにしたらしい。
ルルーシュの視線が何でもないように、普段どおりミレイに頼まれた書類を成作している。

スザクはそんなライの神経の太さに思わず感心してしまった。
何しろルルーシュの眼差しは明らかに異常だ。どう考えても友人の横顔を見る目ではない。というか、友人の横顔をまじまじと見ようとは普通は思わない。

スザクはそこまで考えて「あ、でも」と考えを改めた。
確かにライの横顔は鑑賞に値するのだ。

銀の髪がきらめいている。銀糸は陽の色に染まり、やわらかな光を放つ。端正な横顔に白い肌。
そして何より目が綺麗なのだ。
色の表現だけなら、水色というより氷の蒼(アイス・ブルー)という方が正確なのだろうが、暖かな表情が氷と言うには似つかわしくない。スザクとしては「海の青」と表現したいと思う。
空よりも海だ。――深くやさしく厳しい海。

「……スザクまで、何だい?」

思わず見つめていたらしい。ライが微苦笑しながらスザクを見ていた。
慌てて手を振り、「何でもないから気にしないで」と言いながら、これではルルーシュと同じだと思った。

ライはふたりがふたりとも同じ事をするので、気になったらしい。ぺたぺたと自分の顔を触る。

「何かついているのか?」
「いや、何も」

ルルーシュはまだじっとライを見つめていたが、どうやら聴覚は働いているらしい。ライの問いにぼんやりとした返答をした。
ライは不思議そうに首を傾げる。けれど答えが得られないと分かると、首を振って思考を飛ばした。
その仕草が幼くて、スザクはちいさく笑みを浮かべる。

「スザクもこっちに来て座らないか?ついでに仕事を手伝ってくれるとありがたい」

日向の席は暖かそうで、ずいぶんと居心地がいいだろうと思われた。
普段、軍務によって生徒会の仕事がなかなかできないことを気にしていたスザクは二つ返事で近づいて、

「駄目だ」

拒否された。
なぜかルルーシュに。

「なんで?」
「何故?」

スザクとライは同時に聞いていた。
ルルーシュはライを見つめ続けたまま、事も無げに言う。

「今は実験中だからだ」
「……実験?何の?というか、僕は何かの実験台になっているのか?」

ライが不審そうな表情になるのに、ルルーシュは不快そうに顔をしかめた。
スザクは近づこうと出しかけた足をひっこめながら、ルルーシュの答えを待つ。

「むしろ実験台になっているのは俺のほうで、ライには害がない。だから協力して欲しい」
「ふむ。なんだか良くわからないが……僕で協力できるなら協力する」
「ありがとう」

ルルーシュがふわりと笑う。
その笑みにスザクはおや、と思った。その微笑みはまるで……

「でも、なんでスザクが近づいては駄目なんだ?」
「スザクも協力してくれるよな?」

ライの問いには答えず、ルルーシュが言う。
先ほど浮かべた笑みは全く別種類の、不敵な笑みが口元に浮かんでいた。
こういうときのルルーシュには逆らわない方がいい。経験からくる確信に、スザクはこくこくと頷いた。

「じゃあ、出てけ」

いい笑顔で命令するルルーシュにスザクは肩を竦めた。
はいはいと答えながら背を向ける。
ちくりと痛んだ胸には気づかないふりをした。だって、どちらに反応したのか分からないのだ。スザクを追い出そうとするルルーシュか、それとも、戸惑った表情をしながらもスザクを追うことのないライに対してなのか。

ぱたんと扉が閉まって、スザクは完全にふたりから隔離された。
振り返ることなく、スザクは歩く。とりあえず、特派に顔を出すことにしよう。休日だがあの場所ならスザクをあたたかく迎えてくれるはずだ。

それにしても。と、スザクは自嘲した。
――いつからこんなにも、自分は欲張りになったんだろう?

ルルーシュの親友であり続けたいと思う気持ち。それから、ライの隣にいたいと思う気持ち。
二人が幸せであれば嬉しいことに違いはないはずなのに……胸の奥がずきずきと痛みだす。

こんな痛みは知らない。知りたくない。
こんなに欲張りになっている自分など、分かりたくなかった。

スザクは少しだけ苦い想いを抱えて、青空の下を走りだした。

 

 


ところで。
スザクがようやく自分の心に整理をつけた数日後。
ルルーシュが今度はかなり専門的な心理学の本を難しい顔で読んでいた。

嫌な予感がした。
それでも、聞かなければいけないような気がして声をかける。

「今度はどうしたんだい?」
「ああ、スザク。どうやら俺は病気ではなかったらしい」

――そりゃそうだろうね。あの時気付かなかった僕も大概だけど、君も相当なもんだよ。
というセリフを何とか飲み込んで、スザクは先を促した。

「それで?」
「とりあえず原因は分かったから、どういった仕組みなのかを知ろうと思って」
「……そうなんだ」
「ああ。原因と仕組みさえわかれば対策が練れるはずなんだ」

何か勘違いをしていないかい?とは聞けず、スザクは日本人らしい曖昧な笑顔で相槌を打つ。

「原因、分かったんだ」
「ああ、つまりは特定の対象に性的な魅力を感じ、またその対象に対して肯定的な感情で、強力な情動性があり、強い生理的覚醒などを持つことが原因だ」
「……よく分からない」

本当によく分からない。なんだかひどく直接的な単語が聞こえたが、学問的な説明に埋もれてしまった。
早口に説明するルルーシュの頬は赤く染まっている。
一息に説明したことで酸欠になったのでなければ、たぶんスザクの想像が当たっていたということでいいのだろう。

「まあ、とにかく。原因は分かったから今度は仕組みなんだ」
「……ふうん」

とりあえず、「そんな心理学の本を読むより、ライの好きそうなものをリサーチするのが先なんじゃない?」とか「告白する勇気はあるのかい?」とか、いろいろなツッコミが頭をよぎったが、スザクは結局何も言わなかった。

自分で遠回りをすると言うのだから、遠回りをさせてやろう。
すこしだけ意地の悪いことを思う。それくらいの意地悪は許されるはずだ。

とりあず、再び本に没頭して、ライが来たことにも気づかないセオリストは放っておくことにする。
ちゃっかりライの隣を手にいれたスザクは、理解できない親友を差し置いて、欠席分の課題プリントを広げると、ライの涼やかな声の解説に耳を傾けた。
当然、ルルーシュが呆然として、それから鬼のような形相をするのを知りながら。






セオリストの恋愛:初期症状
(理不尽だ。どうにも納得できない、この感情)




********************

というわけで、ルル→ライ←スザでした。
ライ←スザ…?って感じですが。一応。白いスザクが好きなので、こんな感じ。
スザクはあくまでルルーシュの親友ですが、なんか最初の方だけ読むとスザルルみたいですね;
いや、しかし。こいつら(ルルスザライ)の友情って、ナチュラルにBLに見える気がする(笑)

セオリストは理屈屋とか理論家とかいう意味で使っております。
ルルーシュって本当に理論家ですよね。頭いいけどある意味頭でっかちになっているような気がする。
スザクは感情で動くタイプだな。(ナリタで証明済み)
スザクは恋愛感情に気づいたら速攻タイプだと思いますが、ルルーシュは恋愛感情に気づいても、納得しないと動かなそう(笑)
そういうことじゃないんだよ、と誰か教えてやってください。

テーマソングは真/綾さんの「ミ/ツ/バ/チ/と/科/学/者」です。すごくかわいい曲なんですよー!
今日の夜には、これの後日談を拍手にあげたいと思います。少々お待ちください。
19:40くらいに後日談をweb拍手にあげました。よろしければパチパチしてください。
web拍手小噺はコチラに移動しました。

初期症状なので、末期症状に続くかもしれません(笑)
というか、末期症状が書きたくて書き出したのですが案外長くなってしまったという作品なのです。
しかし、こんなノリのルルーシュに需要があるのか?……ないような気がする。orz

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