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このブログは、9割以上が妄想で構成されています。アニメ・ゲームへの偏愛が主な成分です。
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たぶん学園編。ライが生徒会の仕事だけをしているので(笑)
ルル←ライ+ナナで、ほのぼの可愛い感じ……?
ルルーシュは猫だと主張してみる。

+ + + + + + + + + +


空が茜色から藍色に変わっていく。
その見事なグラデーションを楽しむ余裕もなく、薄暗くなった生徒会室でルルーシュは仕事に追われていた。

自分ほど忙しい学生がこの世にいるだろうか?
無意味な疑問に答えが出ようはずもなく、ルルーシュはただ黙々と書類と格闘する。

アッシュフォード学園は自由な校風が売りである。
しかし、「自由」という言葉に甘い誘惑を感じて入学したものは、泣きを見るだろう。
この「自由」は本物の自由だ。つまり、自主・自律。自由を有する代わりに責任がある。
アッシュフォード学園のの自由を象徴は生徒会で、学園内は生徒会の自治区だと言っても過言でないほどの影響力を持つ。
――ゆえに、生徒会の仕事は規模は極小とはいえ、一国の政府と同じような働きをしなければならないのである。

その小さな政府の一角を担うルルーシュの仕事量は、かなり多い。
通常の副会長の仕事にくわえ、他の役員のフォローもしているのだ。

会計のニーナは性格上、交渉などはほとんど行えない。そのため、会計の振り分けなどの嘆願にやってくる生徒たちはニーナではなく、ルルーシュやリヴァルに声をかけることになる。
リヴァルは交渉事は得意だが書類作成能力が弱いため、結局彼らのフォローをルルーシュが行うことになるのだ。
そのほか、部活の掛け持ちでなかなか生徒会の仕事ができないシャーリー分も書類を捌き、さらにお祭り好きの会長の思い付きを実現させるためにサポートをする。

その一方で、ルルーシュは黒の騎士団の活動を続けている。
こちらは「副」どころか、完璧にリーダーなので、やはり仕事が山積である。
レジスタンス集団に毛が生えた程度の組織ではあるが、飛躍的に規模を大きくしている。資金の調達、人材の確保……やらねばならぬことが多すぎる。

ルルーシュは思わずため息をついた。
自ら選び進んだ道である。後悔はない。疲れているわけにはいかない。
それでも、積み上がった書類の束にため息が出るのは仕方がないことではある。

しかし、アッシュフォード学園にいる一介の学生であるルルーシュ・ランペルージはこの仕事をしなければならないのだ。
二重生活も楽ではない。
だが、それもこれも全てナナリーのためだと思えば、何とか頑張れるような気がした。

ぱらりと書類をめくる。
それでも、かなり仕事は楽になっているのだ。
いつもよりもずっと見やすい形式に整えられている書類に、ルルーシュは小さく笑みを浮かべる。

記憶探しの傍ら、ライが生徒会の仕事を手伝い始めたのは最近のことだ。すぐに仕事を覚えたライは、ミレイにあれやこれやと頼まれているらしい。
いまルルーシュが決裁をしている書類の何割かはライの手で作られたものらしく、とても見やすい作りになっていて助かった。

これが、ライが来る前の状況だと考えると……いや、考えたくもない。
ルルーシュはなんどか頭を振って、再び書類に没頭する。

しばらくして、ふいに視界が良くなったような気がしてルルーシュは顔を上げた。
壁際に困ったような笑顔を浮かべたライが立っている。

「こんな暗い所で作業をしていたら、目を悪くするよ」

ライに言われて、ルルーシュはようやく自分が明かりもつけずにいたことに気付いた。視界が良くなったのは、明かりがついたからだったのだ。

「悪いな」
「いや……」

軽く言うと、ライは少し困惑したように首を傾げた。
どうしたのだろうかと思っていると、ライはゆっくりとルルーシュに近づき手を伸ばした。
ライが積極的に近づいてくるのは稀なので、ルルーシュは驚いた。
ひんやりとした手が、額に触れる。

「なんだ?」

思わぬ至近距離に動揺しながらも、表面上は平静を保ってルルーシュは尋ねる。
ライは少しだけ怒ったような表情をした。

珍しいと思う。ライの表情はやわらかく穏やかなものが多い。
もともと感情の起伏が激しくないのか、まるで静かな湖面のようなのだ。すべてを静寂で包み込んでしまうような……

「ルルーシュ、君寝てないだろう?」
「馬鹿な事を。睡眠を摂らなくては死んでしまうだろう」

平然と返すと、ライはさらに眉を寄せた。
そして、ルルーシュの額に乗せていた手をそうっと滑らせて頬に撫で、眼の下を親指でやさしく触れる。

「隈になっている」
「……気のせいだろう?」
「気のせいで隈ができるものか」

ルルーシュから手を離したライは、大げさにため息をついた。
わざとらしく肩をすくめて見せる。

「自分が変なことに気づいていないのかい?ルルーシュ」
「変?俺がか?」
「変だろう?いつものルルーシュなら、僕が額に触れようと手を伸ばした途端、むっと眉を顰めて拒否しているところだ」

ライは言いながら自分も眉を顰めて見せる。
そんなことはない、と言いかけてルルーシュは口をつぐんだ。案外間違っていないような気がしたので。
それでも、反論しない訳にはいかない。

「変なのはお前の方だろう?いつもそんなに近づいてこないくせに」
「それは……」

ライは少し視線をさまよわせ、それから目を伏せた。
それからぽつんと呟く。

「君が、近づいてほしくなさそうだから」

その様子があまりにも寂しそうで、ルルーシュは目を見張った。
頬に流れた銀の髪が影を作り、ライの表情は上手く読めない。

「そ、れは……」
「考えすぎ、じゃあないだろう?」
「……」

ルルーシュは何も言えなかった。
実際に、ある程度の距離から先はなるべく他人を近づけないようにしているのだ。
それはルルーシュの過去からくる警戒と経験でもあり、矜持でもあった。
他人は誰も心から信用は出来ない。誰にも頼らない。自分だけで、ひとりで、ナナリーを幸せにするのだと。

それは確固たる決意であり、揺らぐことのないものだった。
けれど、ライの寂しそうな横顔を見ていると胸が痛いのも事実なのだ。

「でも、それを責めている訳じゃない。それがルルーシュだと知っているから」
「――どういう意味だ?」
「そのままだよ。すごく優しくて、そのくせになかなか近づけてくれなくて、自分に厳しくて……そんなのを全部ひっくるめてルルーシュだから」

少し寂しいけれど、それは仕方のないことだとライは言う。
ルルーシュは痛む胸を押さえた。
――どうして痛むのだろうか?
勿論、持病があるわけではない。悲しいわけでもない。ただ、ライの言葉を聞いていると胸が痛かった。

「ライ……俺は……」
「うん」

どうしてもライの方を見ることは出来なくて、俯いたままに話しかける。
ライはそんな失礼な態度を気にすることもなく、ごく自然に頷いた。その小さな相槌に背中を押されるように、ルルーシュは口を開く。

「ナナリーを幸せにしたいんだ」
「うん、わかる」
「だから、多少の無理や無茶をするのは平気なんだ」
「うん」
「睡眠時間が削られたって、疲れ果てたってかまわない」
「うん」
「ナナリーを守れさえすれば」
「うん――でもね、ルルーシュ」

ライが優しく囁く。

「僕はルルーシュに幸せになって欲しいよ」

ルルーシュは驚いた。ぽかんと口を開けてライを見る。
ライはくすぐったそうに笑った。

「……な、に?」
「だから、僕はルルーシュに幸せになって欲しいんだよ」
「なんでそんな話になった?」

まだ頭が働かず、ルルーシュは呆然と聞き返した。
まったく話の流れが思い出せない。

「君がナナリーを幸せにしたいって話をしたから」
「そう、だから。俺はそのために……」
「君はナナリーを幸せにするために、ずっと頑張るんだろ?」
「そうだ」
「だから、僕はルルーシュの幸せを願うよ」

ライが微笑む。
自分の幸せを願わないルルーシュの代わりに、ルルーシュの幸せを望むと。
そう囁きながら。

「……いらない」

思わず否定する。
深く考える余裕などなく、ただそんな気持ちはいらないと拒絶した。

「だろうね」

ライはあっさりと頷く。
それがルルーシュだから、とまた言う。

「でも、君はナナリーに幸せになって欲しいという君の努力を認められなくても、ナナリーの幸せを願うだろう?」
「当然だ」
「だから、僕も別に君に認めてもらわなくてもいい」

言いながらライは再びルルーシュに触れた。そっと漆黒の髪を撫でる。
まるで幼子にするような動作に、ルルーシュはライを睨み付けた。

「やめろ」
「いやだ」
「ライ……!」

ルルーシュの怒りの声もどこ吹く風と、ライはにっこりと笑って見せた。
当然、ルルーシュを撫で続ける。

「ルルーシュ、眠りなよ」
「仕事がある」
「僕が代わりにやっておく」
「お前の仕事じゃない」
「生徒会の仕事だから、僕がやっても不思議じゃないよ」

いいながら両の掌でルルーシュの目のを塞いでしまう。
ルルーシュは堪りかねて、その手をどけようとしたのだが妙に手に力が入らない。
暗闇の視界はひどく暖かくて、まどろみに誘われる。

「おやすみ、ルルーシュ。よい夢を」

 

 

 

 


寝息を立て始めた細い身体にブラウンケットをかけて、ライは小さく苦笑した。
音を立てないように気を遣いながら、そっと生徒会室をでる。
そのままクラブハウスのリビングに行けば、不安そうな表情のナナリーがいた。

「ライさん!」

足音を聞き分け、正確に呼びかけたナナリーにライは微笑む。

「ごめん。少し遅くなった」
「それは大丈夫です。でも、お兄様は……?」
「ああ、大丈夫だよ。ナナリーの言うとおり、寝不足だったみたいだ」
「やっぱり」

ナナリーは小さくため息をついた。

「最近いつも帰りが遅いんです。それなのに朝早くから出かけてしまうし……」
「心配いらない。ちゃんと寝かしつけてきたから」

心配そうに柳眉を潜めたナナリーの手を取り、ライはやさしく言い聞かせる。
そのおどけた言い方に、ナナリーは小さく笑った。

「お兄様、まるで赤ちゃんみたいですね」
「赤ちゃんより大変だよ。屁理屈が多くて困る」

くすくすとナナリーが笑う。
ライも同じように密やかに笑った。

「さあ、早く夕ご飯を作ってしまおう。あんまりあそこで寝かせておいたら風邪をひきそうだからね」

咲世子がアッシュフォード家の用事で出かけている今日は、夕食は自分たちで用意しなければならない。
いつもならルルーシュが腕をふるうのだが、彼は今や夢の中だ。

「ナナリー、手伝ってくれるかい?」
「はい!」

元気いっぱいの返事に、ライは笑みを深くする。
今日はおにぎりパーティーだ。ご飯はたっぷり炊いておいたので、ライが中に詰める具を作り、ナナリーが握るという共同作業になる。

「何を入れようか?」
「やっぱり唐揚げははずせませんよ」
「うーん、咲世子さんみたいに上手には出来ないかもしれないけど……頑張るよ」

冷蔵庫の中には咲世子がたっぷりと食材を詰めていってくれたから、いろいろなものが出来そうだ。
ライは冷蔵庫から鶏肉を取り出しながら、他には?とナナリーに尋ねる。

「ライさんはなんの具が好きですか?」
「そうだね……あの、サーモンの焼いたのが入っているのが美味しかったな」

なんだか別の呼び方をするらしいのだが、とっさに思い浮かばない。なんだったっけとナナリーに聞くと、愛らしい声で「シャケですよ」と教えてくれた。
塩味の効いた焼き魚は、ご飯と海苔に非常に良く合った。鶏肉の次に、焼き魚用の鮭の切り身を取り出す。

「ルルーシュは何が好きなんだい?」
「お兄様は……そうですね、甘辛いのが好きです」
「甘辛いの?」
「えぇっと、挽肉が炒めてあって、味噌で甘辛くしてあるんです」
「……レシピ分かるかな?」
「どうでしょう?インターネットで検索すれば、出てくるかも知れません」
「それじゃあ、調べてみようか」

端末を立ち上げながら、下準備をしていく。
いくつかのキーワードを入れて調べてみると、レシピまでたどり着く。案外簡単そうでよかったと、ライは胸をなで下ろした。

少々苦闘したが、それでもそれなりの具材ができあがっった。
ナナリーが熱々のご飯をラップで包み丸めながら、「そう言えば」とにっこり笑った。

「お兄様、梅干し苦手なんですよ」
「……それはいいことを聞いた。ナナリー、この肉味噌のおにぎりのお皿に、ひとつくらい梅干しのおにぎりが混じっていてもいいと思うよ」
「そうですか?」
「勿論。僕たちにこんなに心配をかけたんだから、それくらいはいいだろう?」
「ふふ、そうですね」

少しの睡眠時間。お日様のにおいがするブランケット。そして、少しだけ歪なおにぎり。
ルルーシュを癒やすためだけに用意されたもの。

眠るルルーシュが小さく微笑んだのを、月が見ていた。





気高い猫を甘やかす方法。
  (誰が猫だ!君以外にはいないだろう?)





********************


ルルーシュは猫だと主張してみる。
黒猫。気高くて、あんまし触らせてくれない。そのくせ構ってやらないと「遊ばないのか?」とこっちの様子をうかがってくる天の邪鬼(笑)

なんだかライルルっぽくなってしまったような?と思わなくはないのですが……
まあ、精神的にはライルルで間違っていないと思うので、私的にはOKです!
みなさんは大丈夫でしょうか?
大々的にルルライを謳っているサイトなので……反発がないかと不安です;

ナナリーが出せたので満足!
それからライに「ルルーシュを幸せにする」宣言をさせたので満足!
基本的にルルーシュもスザクも「自分」の幸せを考えなさすぎだと思う。もうちょっと欲張りになってもいいんじゃないか?と。
だから、ナナリーの幸せばっか考えてるルルーシュの幸せは、ライが考えます!(笑)
んで、ライの幸せをナナリーが考えれば見事に循環が出来て、クラブハウス組は幸せさ♪

……ごめんなさい。眠いんです。
だからきっとルルーシュが寝たまんまで、この文章も変なテンションなんです。ごめんなさい。
あともう一仕事したら、ちゃんと寝ます。

あ。最後になりましたが。
このお話の後日談(といっても会話文)を拍手に上げましたので、よろしければパチパチしてやってください。
ついでに感想などいただけると、私が小躍りして喜びます!

拍手後日談再録ページはコチラです。

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