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このブログは、9割以上が妄想で構成されています。アニメ・ゲームへの偏愛が主な成分です。
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どんなに頑張っても短くなりません。orz
本当はいやだったのですが、前後に分けることにしました。
――やっぱり私、えろ苦手なんだ。(´・ω・`)ショボーン

というわけで、10000hit企画第2弾。「嫉妬→おしおきルル」.verです。

非常に文章が硬いです。
昔から硬いと友人にも教師にも言われてきましたが……どうしても柔らかい文章が書けない。
おかげで、ルルが病んでいるかのような文章になっています。すみません。
まあ、ある意味「ライ病」にかかっているということでは病んでいるのですが、俗にいうヤンデレ状態ではありません!――少なくとも、そのつもりはないんです。本当に。
ただSなだけで!(笑)

以前、ツンデレ攻は初で書きにくいというお話をしましたが、ただのSなら書ける気がしてきました。
そうですよね。Sならいいんだ。Sなら。
愛のある鬼畜!最高じゃないか!

……と思いこんで書き始めたのですが、挫折しそうです。orz


+ + + + + + + + + +







あの青い月の夜――ライと互いを半身だと誓ったあの夜から、ルルーシュは自分が変わったことを自覚していた。
その変化がいいものなのか悪いものなのか、判断はつかない。

自分の変化を自覚するのは、これで四度目だ。
一度目は、母が身罷り、ナナリーが光を失ったとき。
二度目は、スザクと友達になったとき。
三度目は、ギアスを手に入れたとき。
過去三度の変化は、振り返ればそれが自分にとって益であるか否かはすぐに判断がつく。
だが、今回の変化は自分にとって有益なことなのかが分からない。

変わってしまったのは、守りたいと願う者が増えたこと。
守りたいと願うのと同じぐらいに、隣にいて欲しいと希うこと。
そして、その望みが叶えられることを確信できるほどの安心と信頼を持っていること。

そして――焦がれるほどの執着を、初めて得たこと。

だから、ルルーシュは思う。
――きっとこの変化は、ライにとって悪いものに違いない。

 

 

例えば、朝。

クラブハウスから校舎へ向かうのは、だいたいライと一緒だった。
特別な理由があるわけではなく、同じ場所に住んでいて同じ場所に通うので、一緒に行くことが多かったのだ。
だが、あの誓いの夜以降は、ルルーシュは意識してライと一緒に登校していた。
それなのに、今日はライは一人で登校した。

「ちょっと用事があるんだ」

昨晩の夕食の席で、申し訳なさそうにライが言ったのだ。
ルルーシュは勿論それを咎めなかった。用事があるのなら仕方がない。用事が何かも聞かなかった。
そうか、と頷いただけだ。ライも不自然なところは何もなかった。

ルルーシュはライがクラブハウスを出て、少ししてから登校した。
いつもと同じ時間。同じようにクラブハウスを出て――いつもと少しだけ違う道を通った。

まっすぐに校舎に向かわず、あの小さな聖堂に寄る。朝から熱心に祈りを捧げる者はいないらしく、静かな聖堂の前を歩く。
登校のざわめきの遠いこの場所では、小さな声もよく聞こえた。

「あの……!」

同年代の少女だろう。緊張に震える声で「誰か」を呼び止める。
相手は振り返り……きっと不思議そうに首をかしげているのだろう。
――彼は知らないのだ。この聖堂裏が、告白場所として大いに利用されている事実を。

「これ、受け取ってください!」
「――これは?」
「テーマパークのチケットです。あの、一緒に行ってくださいませんか?」
「てーま、ぱーく?」
「お、お付き合いしてもらえるとは思っていませんから、せめて……思い出だけでも……」
「え?」
「お願いします!ライさん!」
「えぇっと……」

ルルーシュは踵を返した。
ライが頷かないことを信じているから、続きは聞かないことにする。
――信じている。だけど、心の中に黒い澱が溜まっていくような気がした。

 


例えば、昼。

ルルーシュは終業のチャイムとともに目覚めた。頭に残る眠気を振り払いつつ、無意識にライを探す。
ライは自分の席に着いたまま、クラスメイトに囲まれていた。

ちょこちょこと教室に顔を出す程度だった当初はクラスメイトもライを忌避しがちだった。ライ自身も忘れてしまった記憶を取り戻したい一心で、周りに目が行かない上に、表情もない。美しいと表現して差し支えない容姿をしているのに、そこには何の感情も浮かばなかったのだ。
しかし、正式にアッシュフォード学園の生徒となった頃になると、ライは少しずつ笑顔を浮かべるようになった。ほんの僅かな笑みであっても、雰囲気を一変させるのには十分だった。固く無骨な蕾が、大輪の花を咲かせるようなものだ。
あっという間に、ライはクラスメイトに受け入れられた。
もっとも、ライ自身は自分の変化と周りへの影響をあまり自覚していないようで、「みんな親切だと思う」という平凡な感想しか持ってはいないようだが。

今もライはクラスメイトに囲まれて、小さな笑みを浮かべていた。
「ノート、貸してくれ!」とか「お昼どうするの?」というような、些細な日常の会話を、ライはとても新鮮に感じるらしい。ひとつひとつに丁寧に答えていく。

「数学のノート?あるけど……どうするんだ?」
「昼食は生徒会室で摂るよ。一緒に?ありがとう。でも、次のイベントの会議も兼ねているらしいから、またの機会に」

大抵はライの正直で誠実な返答を聞けば諦めるのだが、今日は酷くしつこい相手がいた。
昼休み開けの数学で当たる予定の男子生徒だ。ノートどころか教科書ごと忘れてきたらしい彼は、正解率の最も高く、またノートの貸出に承諾してくれそうなライの所に縋りに来たらしい。

「頼む!後生だから!」

大げさに頭を下げる級友に、ライは笑う。先ほどまで浮かべていた困惑気味の笑顔よりも、はっきりとした笑みだった。
「仕方ないな」と言う口調も優しげで、ルルーシュは席を立つ。

分かっているのだ、ルルーシュには。
ライは人に頼られるのが嬉しいのだろう。
記憶に対する執着は薄れているようだが、それでもアイデンティティの一角が根こそぎ無くなっているのは事実だ。頼られれば、誰かに必要とされていれば、自分が「ここ」にいることの証明になる。
ライはたぶん無意識にその安心を得たいと思っているに違いない。

さらに、ライの中に蜃気楼のように浮かんだ記憶が確かならば、ライには妹がいたはずだ。
長男気質とでもいうのだろうか。そのあたりもライの言動の根源になっているだろう。

そこまで冷静に考えられるのに、ルルーシュが取った行動はルルーシュ自身が笑ってしまうほどに酷く大人げない行動だった。
ライの席に近づき、声をかける。
大きな声など出さなくてもいい、囁くほどの声でもライは振り返るのだから。

「ライ」

実際そうすれば、ライはすぐにルルーシュに振り向いた。
そして、にこりと笑って応える。

「ルルーシュ、どうかしたかい?」
「そろそろ生徒会室へ行くぞ。会長が痺れを切らして校内放送をかけかねない」
「もしそうなったら、きっと変なイベントに発展するな」

ありえそうな未来予想に、ルルーシュは思い切り顔をしかめた。

「冗談にならないな。行くぞ」
「わかった」
「ちょっと待った!その前にノート!」

ライにすがりついたクラスメイトを、ルルーシュは見下ろした。
そして、ライが反応するより早く応える。冷たくもないが優しくもない、突き放す声音で。

「宿題は自分でやるべきだろう?」
「そりゃ、分かってるけど……俺はライや副会長みたく、頭良くないんだよ」
「それでも昼休みの時間を使えばどうにかなるだろう。数学の得意な奴だってこのクラスに他にもいる。教えてもらえばいい」
「いや、でも……」
「下手に楽をしようと思うなよ」

ばっさりと切り捨てると、クラスメイトはバツの悪そうな顔をして頭をかいた。
アッシュフォードの生徒は基本的に育ちがいい。自分でやらなければ力にならないことは、自分自身で理解しているに違いない。
何より生徒会副会長としてクラス中から信頼度が高いルルーシュがいさめれば、引き下がらずを得ないだろう。
大げさに嘆いてみせる姿とて、本心ではなく照れ隠しなのだろう。

――それとも、ライの気を引きたいのだろうか?

ライの手首をつかんで引っ張る。
急にくわえられた力にライは一瞬バランスを崩したが、すぐに体勢を正す。珍しく乱暴な動きをするルルーシュに、ライは不思議そうな顔をした。その視線に気づきながらも、ルルーシュは黙ってライを引っ張る。
教室から出て少し廊下を歩いたところで、ルルーシュはようやくライの手を離した。

「……悪い」
「何についての謝罪かよく分からないんだけど……じゃあ、お弁当のおかずを一つもらおうかな?」

呟くような謝罪に、ライは笑って応える。
ルルーシュは呆れたような顔を作って、ライを小突いた。そんな風にじゃれながら廊下を歩く。
もうすぐ生徒会室というころを狙って、ルルーシュは口を開いた。ノートなんか貸さなくていいと忠告すれば、ライは小さく喉を震わせて笑う。

「なんだ?」

嫉妬しているのだという自覚はある。
だからなるべくこの話をしたくなくてぎりぎりのタイミングを狙ったのに、ルルーシュはライの予想外の反応に聞き返してしまった。

「ふふ……いや、ルルーシュは優しいと思って」
「……優しいのはお前だろう?」
「そうかな?君のは分かり辛いだけだと思うよ」

言ってライは綺麗に笑った。
その表情がルルーシュが一番好きなのだと、ライは知っているのだろうか。ふとした折りに、ライはよくこの表情をルルーシュに見せてくれる。

「だから、君の優しさが分かると嬉しいんだ」
「……勘違いだ」
「そうかな?」
「そうだろう」
「でも、彼はきっと今頃一生懸命問題を解いている、自分の力で。それはきっと彼の力になるよ。僕がノートを貸していら、そうはならなかった」

嬉しそうにライは笑う。
ルルーシュはライを眩しそうに、目を細めて見た。

 

例えば、夕方。

なぜか生徒会室にはロイド・アスプルンドがいて、ライにへばりついていた。
さらにその隣でスザクが気まずそうな顔をしている。

ルルーシュはこめかみをも見ながら、スザクを胡乱な目で見た。
さらにスザクは縮こまるが全く気にしない。

「どういう経緯でこうなったのか説明してもらいたいな」
「それが――」
「スザク君が紹介してくれたからでぇす!」

元気に宣言したのはロイドだった。間違っても教諭として正しい言葉づかいとは言えない。
耳元で叫ばれたライは、目を白黒させている。

「いやあ、スザク君から話を聞いた時にはちょっと本当かなあと思ったんだけどさあ。すごいねぇ、彼。身体能力は勿論、なぜかKMFについての知識も豊富!ちょっと他にはない素材だよ」
「はあ……ありがとうございます?」
「ライ、そこはお礼を言うところじゃない」

ルルーシュは頭を抱えたくなる衝動を抑え、ライをロイドから離そうと試みる。
さりげなくライの隣に座り、椅子ごとライを移動させる。キャスター付きの椅子でよかったと思ったのもつかの間、同じくキャスター付きの椅子に座っていたロイドまで移動してきた。
結果的に三人は同じ間隔でスライドしただけになる。

「ところで、ライ君?」
「え、あ。はい」

ルルーシュの行動に驚いていたライは、ロイドの話しかけられ肩を跳ねさせた。
距離が近いのだ。ほとんどライの肩に懐くような形で、ロイドはライの顔を覗き込んでいた。

「こういう場合はどう思う?」

言いながらライにつきつけたのは、簡易のKMFの設計図のようだった。
背中には見慣れない装備が付けられており、細かい文字で走り書きがいくつかある。専門用語が乱舞するプリントに、ルルーシュは思わず見入ってしまった。
これだけ簡易にされているにもかかわらず、ロイドが指示したプリントには最新技術の一端が載っていたのだ。
ライも興味をひかれたようで、食い入るようにプリントを読んでいる。

「これは……?」
「これはねぇ、ブリタニアの最新技術!フロートシステムだよ」
「ロイドさん……いいんですか?」

高らかに宣言したロイドに、スザクは思わず声をかける。
すると、ロイドは意外そうにスザクを見た。

「いいんじゃない?すでに民間への技術の一部はわたってるし」
「そうなんですか?」
「そうなんですよう。だって、軍事行動ってお金かかるからねえ。国庫だって結局は国民の税金でしょう?」

ロイドはにこにこと笑いながら、ライに詰め寄る。

「ねえ、君はさあ。どう思う?」
「何がですか?」
「フロートシステム。まだ完成には程遠いんだよね。スピードはまあ出るけど、持久力がねえ」

なぜそこでライに意見を求めるのか。ルルーシュは頭を抱えたくなった。
ライもライでまじめに考えているらしい。
ルルーシュに引っ張られているので上半身だけがルルーシュに凭れるように斜めになったまま、「そうですね」とつぶやいた。

「フロートシステムの方はよく分かりませんが……しかし、自在に空を飛べると言う事なら、足を削るでしょうね」
「と言うと?」
「飛んでいるなら不時着以外の時に、徳に支えが必要になるとは思えません。それに機体の軽量化を図れば、同出力で長く持つようにはなるでしょう?」
「具体的には?」

ロイドの目が爛々と輝く。
ライもそうして考えているのが楽しいのか、次第に論議に熱中していく。
スザクは呆れたような苦笑でロイドとライを見守っているが、ルルーシュの内心はスザクほど穏やかではいられなかった。

近すぎる。
今にも顔が触れ合いそうな距離に、ルルーシュは眉を顰めた。
ライはルルーシュの様子に気づいていない。

ルルーシュの脳裏に思い浮かんだのは、今朝のライだった。
用事があると言って、自分を置いて行ったライ。女子生徒に告白されていたライ。
それから、昼。
クラスメイトに囲まれて微笑むライ。
――自分にだけ、微笑むライ。

「――それなら、ハニカム構造にしてるとか」
「うーん、それなら……」

目の前にいるのは、自分を見ないライ。
――他人と、話しているライ。

ルルーシュは我慢しきれずに立ち上がった。椅子が大きな音を立てて倒れる。
ライとスザクが驚いた顔でルルーシュを見たが、ロイドだけは面白そうな顔をしていた。どちらにしても気に入らない。

ルルーシュは無言のままライの腕をつかむと、力づくで引き上げた。
ナナリーの介護を長年してきたルルーシュは、持久力がないだけで瞬発力や純粋な力だけなら並みぐらいにはある。加減をせずにつかまれたライは、痛みに眉を寄せた。

「ルルーシュ?」
「すみませんが、失礼します」

急にどうしたのかと目が見張ったスザクにも目もくれず、ルルーシュはロイドにおざなりに言葉をかけてライを引きずる。

ライは茫然とルルーシュにひかれるままに歩いた。
掴まれた腕が痛い。

「ルルーシュ?どうしたんだ?」
「……」
「ルルーシュ!」

どれだけ呼びかけても、ルルーシュの返事はない。
そのまま無言で廊下を歩き、扉を抜け――ルルーシュの自室までやってきた。普段のルルーシュからは程遠い荒々しい動作でライを室内に放り込む。そして、たたらを踏んだライがバランスを取り戻すより先にその肩を押して、ベッドに転がした。

「ルルーシュ!」

さすがに咎める口調で名を呼ぶライに、ルルーシュは笑ってみせる。
自分でも嫌になるほどに、酷薄な笑みだった。

「一体どうしたんだ?」
「どうもしていないさ」

言いながらライの体を抑え込む。
ライの足の間に体を置き、肩を固定して動けないようにする。こうしてしまえば、ライとルルーシュの力の差があったとしても、易々とは起き上がれない。

「ルルーシュ!いい加減に……っ!」
「もとからだ」
「え?」

拘束から逃れようと肩をゆすっていたライが、ぽかんとルルーシュを見上げる。

「ずっとこうしたかったんだ」
「ルルーシュ?」
「いっそお前を閉じ込めてしまいたい。なあ、分かっているか?ライ」

ルルーシュの細い指がライの輪郭を擽るようにたどる。その繊細な動きに、ライは息をのんだ。
意識せず背中が震える。
快楽というには薄い。けれども、次を期待せざるを得ないほどには確かな接触。
「あ、」と小さく零れた声に、ルルーシュはうっとりと笑った。

「――俺に愛されるということは、そういうことなんだよ」




to be continued.

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