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このブログは、9割以上が妄想で構成されています。アニメ・ゲームへの偏愛が主な成分です。
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第一話、というかプロローグと相成りました。
「猫ライ」話です。
……猫の可愛さを文章で表現するのは難しいです。orz

プロローグだけだと、基本的にライがしゃべらない(……猫だけど)ので、続けて第一話も書いています。

個人的には、「ルルーシュ=猫」「スザク=犬」「ライ=兎」だと思っているのですが……うさぎじゃ鳴かないし、意思表示が難しすぎるので、猫となりました(笑)
(※訂正:うさぎも鳴くそうです!拍手で教えていただきました。初めて知った……でも、滅多に鳴かないそうなので、やっぱり意思表示が難しそうです。なので、猫のまま突っ走ります!)

それにしても、ツン期のルルーシュは動かしにくいことこの上ないなあ。(-_-;)


+ + + + + + + + + +







ルルーシュがそれを見つけたのは、クラブハウス――つまりは自宅の玄関前だった。
薄灰色の汚れた小さな塊が、玄関先に転がっていたのだ。まるで、ボロ雑巾のようだった。

――誰の嫌がらせだ?

ルルーシュは首をかしげた。
この程度の嫌がらせを受ける理由は掃いて捨てるほどある。学園内では比較的大人しくしているつもりではあるが、どうしても役職上目立ってしまう。さらに、理由が不明確な部活予算増額案など一刀両断しているから、数年前まで甘い蜜を吸っていた一部部活からは非常に反感を持たれている自覚もあるのだ。

しかし、所詮学生たちである。
ルルーシュからしてみれば、非常に分かりやすいことこの上ない動き方をするので、どこの誰がルルーシュにどんな種類の敵意を持ち、どんな類の嫌がらせを行ってくるかは手に取るように分かる。
今のところ、部活関係・委員会関係など組織的な反感は、妥協案の提示で押さえ込んでいるため、こういった行動に出るとは思えなかった。

頭の中で100近い候補をひとつずつ潰しながら、ルルーシュは小さくため息をついた。
ルルーシュだけだったなら、この程度の嫌がらせは歯牙にもかけない。多少不快な思いをするというだけで、実害があるわけではないからだ。
しかし、ここにはナナリーがいる。
愛しい優しい妹がこんな嫌がらせを受けている事実を知ったら、どう思うだろうか?
その懸念だけが、ルルーシュを動かしていると言っても過言ではない。

とりあえず、さっさと片付けてしまおう。それから犯人を捜し出し、二度とこんなことをしないようにきっちりと「教育」してやらなければ。

そんなことを考えながらルルーシュはボロ雑巾に近づき……そして、自分の考えが間違っていたことに気づいた。
ルルーシュが近づいていくと、そのボロ雑巾は小さく動いたのだ。驚いて足を止めると、ボロ雑巾は意外に素早い動きで身体を起こした。

小さな四本の脚。ピンと立った耳。
警戒するように尻尾は立てられ、汚れた灰色の身体からは想像も出来ないほど美しい青がじっとルルーシュを見つめていた。

「……猫」

それも仔猫だ。ルルーシュの両の掌に収まるほどの、小さな命。
どこかで水たまりにでも落ちたのか、ずぶ濡れの身体を震わせながらも、その小さな仔猫は決してルルーシュから目を離さなかった。
凛とした強い視線に、ルルーシュは目を見張る。
猫とは思えないほど気高い瞳だった。そこには敵意も警戒も怯えすらない。

そんな超然とした瞳に魅入られるように、ルルーシュはそっと近づいた。ルルーシュがどれだけ近づいても、仔猫は逃げ出す様子がない。
あと一歩。そこまで近づいて、ルルーシュは膝を折った。
そっと手を差し出すと、初めて猫はわずかに後ろに下がった。その脚がわずかに縺れたのを見て、ようやくルルーシュは仔猫がかなり弱っているという事実に気づく。
まるで弱さを見せない目にばかり気を取られていたが、よく見れば、毛並みは汚れているだけではなくぼろぼろだった。

「おいで」

差し伸べた手を近づけて言えば、猫は驚いたように毛並みを逆立てる。
ルルーシュは焦ることなく、そのままの姿勢で猫の反応を待った。じっと青い瞳がルルーシュを窺い、それから差し出された指先を見つめた。何度となく視線が往復し……

「にぃ」

微かな声で、仔猫は鳴いた。
まるで了承のサインのように。
そして指先に触れる濡れたぬくもりに、ルルーシュは思わず笑みを浮かべる。溢れた感情の名は知らず、ただ心が望むままに微笑み、その小さな身体を腕に抱いた。
――すっかり自分の領域に招くつもりになっている自分に苦笑しながら。





仔猫はナナリーによって「ライ」と名付けられた。
ナナリーに言わせれば、仔猫がそう名乗ったというのだが……にっこりと笑った妹の可愛さに、兄はその辺りの事実を無視することにしたらしい。

ルルーシュが拾った猫をナナリーは心から歓迎した。心優しい少女はもともと動物好きであったから、当然のことであっただろう。ぜひ世話を手伝わせて欲しいという申し出に、ルルーシュは断る言葉を持たなかった。
そこで、濡れた身体をナナリーに拭いてもらっている間に、人肌程度にミルクを温めることにしたのだ。

あまり小さい猫だと牛乳は上手く消化できないのだが、幸運なことにライはそこまで小さくはない。少し薄めてやれば十分だ。
数週間程度の大きさならば、これだけ濡れて体温が奪われていたら、助からなかったかも知れない。しかし、そこまで幼くはないらしい仔猫は、大人しく身体を拭かれていた。
おおよそ乾いた身体を丸めながらも、落ち着かない様子で辺りをきょろきょろと見回している。

それでも決して少女に爪を立てたり噛みつこうとしない。また、人に抱かれるのにもそれほど抵抗がない様子から、飼い猫であった可能性がある。嬉しそうに仔猫の背を撫でているナナリーの横顔を見て、ルルーシュはわずかに眉尻を下げた。
飼い猫であったのなら、元の飼い主を探さないわけにはいかないだろう。
見つかれば、きっとナナリーは悲しむだろうけれど。

近づくルルーシュに気づいたのか、ライは耳をぴくりと立ち上げた。頭まで被さっていたタオルが落ちると、先ほどまでよりは多少マシになった毛並みが現れる。
それでもまだ、ルルーシュが許せるほど綺麗になったわけではなく、後でシャンプーをしなければと固く決意する。

「ミルクができたぞ」

声をかけると聞き分けて、ナナリーの膝から飛び降りる。やはり賢い猫だ。
床に皿を置いてやると、何故かその皿の前でしばらく固まった。

「……どうした?」

よく分からない行動にルルーシュが首をかしげると、ナナリーが心配そうな顔で尋ねる。

「どうかしたのですか?」

ルルーシュは困惑しながらも、大丈夫だよとナナリーに応えながら、猫の頭を指の腹で撫でてやる。掌で撫でるには小さすぎるのだ。
仔猫は「ぅにぃ」と小さく鳴いてから、ルルーシュの指をかいくぐり、ミルクを舐めはじめる。

ぴちゃぴちゃと舐める様子から、どうやら空腹ではあったらしいとルルーシュは推察する。
その割には妙に躊躇していたのが気になるが、それでも食欲があることはいいことだ。

案外不器用そうにミルクを飲む背中を見つめて、ルルーシュは微笑んだ。

「美味しそうに飲んでいるよ」
「そうですか!よかったです」

ナナリーとも微笑みあって、「さて次はシャンプーだな」とルルーシュは腕まくりをはじめた。
こればかりはナナリーに手伝わせられない。生徒会で飼っているアーサーをシャンプーしたときのことを思い出し、ルルーシュはげっそりとした。「猫は水嫌い」というのはどうやら本当らしい。
暴れる猫を抑えるには生傷が付きものだと、すでに学習しているルルーシュはそっとため息をついた。

ひと皿ミルクを飲みきって落ち着いたらしいライが、器用に口の周りをぬぐっている。
飲み方が下手だったので、あちこちにミルクが飛んでしまっている。ナナリーから受け取ったタオルでぬぐってやると、ライは小さく鳴いてみせた。
お礼のようだ。
まるで人間のような反応に、ルルーシュは小さく笑った。

こんな些細なことで自分は笑ったりできるのだと、ルルーシュは少し意外に思った。
少なくとも数時間前――黒の騎士団の本拠地・トレーラーにいたときには失っていた感情だ。ぽっと心が暖かくなるような、こんな気持ちなど。

ルルーシュは慎重な手つきで仔猫を抱き上げた。大人しく抱かれている猫は、大きな目でじっとルルーシュを見上げているから、思わず微笑みかける。安心させるように笑いかければ、ライはぱたりと尻尾を振ってみせる。

そのままあやすように抱いたまま、足早に洗面所へと向かう。
アーサー用に生徒会で購入した猫用シャンプーがあるので、それを使わせてもらう。

洗面台の白いセラミックの上に怖がらせないようにライを乗せる。滑るセラミックに足を取られて、ライはしゃがみ込んだ。情けなさそうに耳を伏せているので、頭を撫でてやりつつも、容赦なく頭からぬるま湯をかける。

「みぎゃ!」
「大人しくしてろよ、綺麗にしてやるんだから」

逃げようとした身体を押さえて、まず水で軽く汚れを落す。流れる水は灰色に汚れ、排水溝に吸い込まれていく。
どうやら土というより埃を被っているらしい。丁寧に毛を梳きながら水を流し続けた。
しばらく暴れようとしていたが、アーサーよりも小さな身体は何とかルルーシュの力でも抑えることができる。それに、ライはしばらくすると諦めたように伏せをしてじっとしてくれる。
こびりついたような汚れを落すのに結局3回洗いをし、よく濯いでから、タオルで包み込むように拭いてやる。

見違えるほ綺麗になったライは、灰色ではなく少し青みを帯びた銀色の毛並みをしていた。
印象的な青の瞳と銀の毛並み。誰もが手放しで褒めるほど、美しい仔猫だった。
驚くほど変わってしまった仔猫に、ルルーシュは驚きながらも丁寧に毛並みを整えてやる。濡れた毛並みはまるで宝石のように輝いて見えた。

なるべく優しく拭いてやれば、ライは大人しくタオルの丸まっているので、アーサーに比べれば随分と楽だったことに、ルルーシュはほっとした。
スザクたちとともにアーサーを洗ったときの大騒ぎを思い出して、心の底から良かったと思った。

「ずいぶんと大人しいし人慣れしてるな……やはり元飼い猫か?」

ライからの返答があるわけでもないのに、無意識にルルーシュはそう尋ねていた。ライはこてんと首をかしげて見せたが、勿論返事があるわけがない。
ルルーシュは自分の行動を不審に思いながらも、止められなかった。

「ここに、いるか?」
「にゃ」

ライが絶妙のタイミングで一声鳴くので、ルルーシュは思わず笑ってしまった。

「そうか。じゃあ、お前の気が済むまでここにいればいい」
「にぅ」

こうして、ルルーシュの猫のいる生活がはじまった。
――その猫が些か……いや、かなり特別な猫だと気づくのは、もう少し後のことである。





猫のいる生活 プロローグ
(はじめまして。どうぞよろしく、「ご主人様」?)

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No title
猫ライ良かったですv
文章がとても優しい感じで癒されました^^
から 2008/09/22(Mon) 編集
No title
猫ライ、すごく素敵でしたwルルーシュの優しさがこう伝わってくる感じで・・v次回も期待しています^^
黎榎 2008/09/24(Wed) 編集
返信です
から様へ
気に入っていただけたようで安心しました!
や、優しいですか!ありがとうございます。(///)
これからも猫ライのかわいらしさを振りまいていきたいと思います。
感想、ありがとうございました!

黎榎様へ
気に入っていただけて嬉しいです!
次回も頑張りました(笑)
10000hit企画とR2沿いがあるので、ライ猫は少し更新が後回しになると思いますが、気長にお待ち下さい。
感想、ありがとうございました!
月花 2008/09/28(Sun) 編集
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