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このブログは、9割以上が妄想で構成されています。アニメ・ゲームへの偏愛が主な成分です。
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ぎりぎりセーフ!
……というわけで、ルル誕生日小噺です。
コンセプトは「ライをプレゼントしよう!」(笑)

実はこれ、2本目です。
1本目は、誕生日の朝にルルの隣で寝ているライ(当然、事情後)を見て、ルルがひたすら幸せを感じる話だったのですが……ライを愛ですぎて、ルルが変態くさくなったため、ボツにしました。orz
半ば私と同化したと言っても過言ではない。ごめん、ルルーシュ。マジで謝る。

こ、こんどこそ!今度こそ企画に参加するぜ!
――なんだか、人様に差し上げるべき文量を超えている作品になりつつあるので、推敲しながらかなり削らなければならない状況に。orz
や、やばい。でも頑張る!

以下、小噺本文です。
少しでも楽しんでいただければ幸いです。

そして、最後になりましたが……
Happy Birthday Lelouch!!

+ + + + + + + + + +




「おめでとう」の言葉にライは思わず固まった。こういうときは、感情が表に出ない性質でよかったとしみじみと思う。

普段は嬉しくてもうまく微笑めない表情筋に、少しばかり嫌気が差しているのだ。
ミレイにように華やかには笑えない。シャーリーのように鮮やかにも無理だ。スザクのように大らかにも笑えないし、ナナリーのように淑やかにも微笑めないけれど。せめて、ルルーシュが時折見せる微かな笑みに近い表情はできればいいのに、ライの顔はすこしもライの言うことを聞いてはくれないのだ。

――嗚呼、でも今回ばかりは動いてくれない頬や目元に感謝しよう。
そんなことを考えながら、ライは目の前に広がる光景をぼんやりと見つめた。

ミレイが、スザクが、シャーリーが、リヴァルが、ニーナが、カレンまでもが笑顔でルルーシュに「おめでとう」と告げていた。
全員が一通りおめでとうを言い終えると、ルルーシュは「ありがとう」と笑った。いつもよりも優しいその笑顔に、ライはほんの少し泣きそうになる。

知らなかったのだ。
今の今まで、ライにとって今日は何でもない、いつもと同じ日常の一日だった。
朝目が覚めて、挨拶をして、朝食を摂り、授業に出て、放課後は生徒会の仕事。まったくいつもと変わらない穏やかな一日だった。
言い換えれば、それだけの一日だったのだ。

知らなかった。
ルルーシュの誕生日であるということ。特別な日だったのだということ。

ライは知らぬ間に、自分のつま先をにらみつけていた。知らなかったという事実がショックで、悲しくなる。
知らせて欲しかったと、一瞬だけでも周りの優しい人たちを恨んでしまった自分を嫌悪して、さらに落ち込む。
けれど、ライのそんな様子には気付いていないようで、みんなは楽しそうに笑っていた。

だから、せめて悲しそうな顔だけはしてはいけないと思う。
こんなに明るい空気を壊してはいけないと、一度目をきつく瞑って感情を外に押し出した。
そして一呼吸。それだけで、冷静さを取り戻したライは顔を上げて、そして後悔した。

顔を上げた瞬間、なぜだかミレイがまっすぐにライに目を合わせて微笑んだのだ。
その笑みは「にっこり」というよりは「にまり」と表現したほうがいいような類で、ライは思わず半歩後ろに退いた。

ミレイのあの笑顔を恐れるのは、半ば条件反射だ。
本人にとってはこの上なく楽しく、まわりの者とってはろくでもない上に苦労が絶えない提案が多々されてきた経験によるものだ。
見れば、似た笑顔をランペルージ兄妹以外が浮かべていてライを見ていた。
笑顔の迫力に押されるように、ライはさらに半歩後ずさる。

楽しそうな笑顔の時間を壊したくなくて、心を落ち着かせたライとしては予想外の展開で、どうしたらいいかわからない。
ルルーシュもライ同様に困惑したらしい。先ほどまでにこやかに「ハッピーバースディ」を告げていた友人たちが、いまや獲物を狙うハンターの目だ。獲物のほうは混乱しているようで、すぐさま、ハンターの餌食になることは間違いないだろう。

「会長?」

ルルーシュが「何をたくらんでいるんだ」と言外に尋ねたのと、ミレイの笑みが凄みを増したのはほぼ同時だった。
そして、ミレイの号令がかかる。

「確保っ!」

鋭い号令に真っ先に答えたのは、案の定、軍人のスザクだった。
両手を拘束されて、ライは身動きがとれなくなる。とっさに反撃せずにいられたのは、スザクの後ろから意気揚々と近づいてきたシャーリーが見えていたからだ。そうでなければ、反射的にカウンターを繰り出していたかもしれない。

「スザク !? 」

ルルーシュが叫ぶが、スザクは一切の躊躇をしない。
はやくはやくとシャーリーを急かす。シャーリーがカレンを呼び寄せ、ふたりで協力しながらスザクが抑えているライの腕を縛り上げる。
その様子に驚いたのは、ライ本人よりもルルーシュだった。

「何をやってるんだ!」

とっさにライを助けようと伸ばした手は、ミレイとリヴァルによって制される。
ライはと言えば驚いてきょとんとしているが、それ以上抵抗するつもりは無いらしい。

「会長!一体何をしようというんです?」
「ふふふ。もうちょっとしたら分かるから」

まあまあ、と繰り返したのは意味のない言葉ばかりで、ルルーシュは苛立ったように床をけりつけた。
必要以上にイライラしているルルーシュの様子に、ライは少し首を傾げた。このメンバーならライに悪意がないことは明らかで、怪我をさせようとか、傷つけようとか、そんなことを考えていないことはルルーシュにも分かっているはずだ。

ライが大丈夫だからとルルーシュに伝えようとした途端、耳元でシャーリーが叫んだ。

「できた!」

少女の高い声を至近距離で聞いたライは、耳の奥がキィンと鳴るのを聞く。
びっくりして思わず目を瞬かせながら、スザクから解放された両手を動かして、さらに驚いた。

ピンクだ。
手がピンク色になっている。

正確には、ピンクのふんわりとした大きなリボンがライの両手を拘束してちょうちょ結びになっている。大きなリボンはほとんどライの腕を覆い隠していていて、手がそのままリボンになってしまったようにすら見えた。
ライは何度か手を振ってみたが、その程度ではリボンは解けそうにない。

「じゃじゃ~ん!」

即席効果音はミレイのもので、満足そうに生徒会一同が笑う。

「ライが私たちからのバースディプレゼントよ!」
「な……!」

ルルーシュは絶句し、ライは意味が分からないという表情を浮かべた。
そのふたりを楽しそうに見たミレイは、朗々と説明する。

「だって、ルルーシュってあんまり物欲がないでしょ?」
「だからといって、人をプレゼントするなど……!」
「でも、嬉しいよね?」

言い切ったシャーリーの言葉に、ルルーシュは言葉を失った。

「だって、ライと一緒にいるルルーシュは嬉しそうだもん。だから、今日はライはルルーシュのなの!」
「……ライの了承もなしに?」
「ふふん。でも、ライも異論はないでしょう?」

自信たっぷりのミレイの言葉に、ライは戸惑いながらも頷いた。
頷いたが、まったく意味が分からない。この場にいる全員が納得している事実に、ライは疑問を禁じ得なかった。

今日がルルーシュの誕生日であることは理解した。誕生日に、生徒会メンバーがプレゼントを用意したにも頷ける。
けれど、そのプレゼントに自分が選ばれていることが分からない。
それで、ルルーシュが喜ぶのかどうかも不明だし、「人」がプレゼントとして適切かどうかもライには判断がつかなかった。

「……異論はない。異論はないが、僕でいいのか?」

尋ねると、全員が顔を見回して肩をすくめた。

「そういう反応は少し違うと思うよ」

スザクが苦笑いでそう助言してくれるのだが、ライにははやり理解できない。
ミレイが小さくため息をついて、今度はルルーシュに号令をかける。

「ほら!本日の主役はプレゼント持って退場!」
「今日はクリスマスパーティーの打ち合わせでしたよね?」
「こっちでやっておくから大丈夫よ!」
「――だから、不安なんですが?」
「だいじょーぶ!」

胸を張るミレイに、ルルーシュは諦めたように頭を振った。スザクにくれぐれも会長を暴走させないように言い含めてから、それでも不安そうな顔を隠さないで、再度ミレイにも釘を刺す。
そうしてから、ようやくルルーシュはライを見た。

「綺麗にラッピングされているな」

そういって笑う顔はすごく嬉しそうだったので、ライはそれだけで心がぽっと暖かくなる。
結ばれたままのライの腕を取って立たせて、生徒会室から連れ出す。後ろでからかうような笑い声が聞こえたが、ルルーシュは全く振り返ろうとはしなかった。

ルルーシュの自室に向かう道すがら、ライは再度尋ねた。

「ルルーシュ。僕がプレゼントでいいのかい?」
「……お前な」

呆れた視線を向けられて、ライは首をすくめた。
その様子に、ルルーシュは微苦笑を浮かべる。

「普通はな、『どうして僕がプレゼントなんだ』と来るものなんだ」
「それは思ったよ。第一、生き物を贈り物にするのはマナー違反だと――」
「その反応も間違っている!」
「そうなのか?」
「自分が物扱いされて嫌だとは思わないのか?」

ライはまじまじとルルーシュを見つめた。
どことなく不安そうな色が瞳の奥に浮かんでいて、そんな風に弱気になるルルーシュは珍しかった。

「僕は君が喜んでくれるなら、嬉しいよ」

だから、その目を見たままはっきりと告げる。
ルルーシュは驚いたように目を見開き、ゆっくりと閉じた。それから、ため息を吐き、何か言おうと口を開いて、結局何も言わないまま閉じる。
何も言わなかった代わりに、ライの手を強く握った。

「嬉しいよ」

ルルーシュの声は小さくて、気を抜いていたらきっと聞こえなかった。
黒髪から覗いた耳が紅くなっている。

「――ライが、祝ってくれるなら。とても嬉しい」
「……うん」

ライは微笑んだ。
上手く笑えているか分からなかったが、心から湧き出てくる感情のままに頬を緩ませる。
けれど、それからすぐに気づいて眉を下げた。真っ先に謝らなければならないことがあったことを思い出したのだ。

「――誕生日、知ってなくてごめん」
「違うだろう」

ルルーシュが自室のドアを開けてから振り返った。
言われた意味を正確に読み取れたのは、きっとルルーシュが楽しそうな笑みを浮かべていたからだ。まるでライを試すように挑戦的で、見守るように優しい目で笑う。

ライはルルーシュに導かれるように、求められた言葉を口にした。
大切に大切に、口の中で味わうように発音する。

「誕生日、おめでとう。ルルーシュ」
「ありがとう」

与えられた満面の笑みに、ライはそっくりの笑顔を返していた。



贈り物をあなたに。
(贈主は最愛の日常。品物は最愛の君。オプションは最上の笑顔)

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